コラム


by katorishu
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ライブドア事件の奥深い闇

2月4日(土)
 7,8年前、ビデオジャーナリストの神保哲生氏が始めたビデオニュースドットコムで立花隆氏の外国人特派員協会での講演を見た。(http://www.videonews.com/)
 ライブドア事件について45分ほどの記者会見。テレビニュースなどでは例えば1時間の記者会見を数分にはしょって伝えるので、発言者の真意が伝わらないことがある。
 ビデオニュースドットコムでは、初めから終わりまで伝えるので、興味深く見ることができる。日本の「遺制」である排他的な「記者クラブ」ではなく、会場にはフリージャーナリストも入ることができ、彼等からの質問が飛んだりするので、面白い。
 ぼくも一度、会場に顔をだしたことがある。もちろんフリーの立場で。
 
 立花氏によれば今度のライブドア事件に検察が100人体制でとりくんでいるのは、ロッキード事件以来であり、事件の奥にあるものに迫ろうとしている証拠だという。
 最大のターゲットは「ブラック」であると。つまり組織暴力団などの闇の勢力である。ロシアなどでは闇の勢力(マフィア)が経済の3割から4割近くまで食い込んでおり、それが社会をむしばんでいる。ひところ、日本とロシアの合弁事業には、ほとんどマフィアがからんでいると聞いた。
 ソ連崩壊後のロシアの銀行家は、ほとんどマフィアかマフィアとつながっているとも聞いた。

 ソ連崩壊後、モスクワで会ったモスクワ大学の学生はBMWに乗っており、ぼくも乗せてもらったが、日系の事業の支配人だった。今頃、彼はどうしているか。ベンチャー企業の雄として巨万の富を得ているのかもしれない。あるいはすでに殺されてしまっているか。
 日本でも「格差社会」がいわれているが、ロシアでの貧富の差は極端で、社会からモラルも失われてしまった。プーチンのような強権政治でしか、秩序が守れない状態になっている。
 日本も、ロシアの二の舞を演じないよう、国民が「勝ち組」と称される連中の行動を見張っていかないと、いずれとんでもないことになる。マスメディアがその役割を果たさなければいけないのだ、関係者が「勝ち組」か、それに近い存在になっているので、多くを期待は出来ない。
「野良犬」のような週刊誌ないし、体を張って取材するフリーランスの記者やノンフィクション・ライターに期待したいものだ。

 バブル期、闇の勢力は住友銀行の中枢まではいりこんだ。一方、政治とのからみも見逃せない。竹下政権が誕生したとき、、「皇民党事件」があったことを記憶しているだろう。
 「ほめごろし」の手法で竹下首相の金脈について街宣車などで言いまくった。困惑した竹下元首相は闇の勢力につながる人間を介して「手打ち」を行ったはず。
 その後、皇民党の動きはぴたりと止まった。

 闇勢力は昔とちがって表面的には普通の企業とかわらない佇まいを見せている。「フロント企業」とも「企業舎弟」ともよばれているが、こんなところにも……と驚くことがある。
 有名な某占い師も、「企業舎弟」とつながりがある、と某週刊誌の編集者から以前聞いたことがある。
 ライブドア事件で、闇の勢力や政治家などにどこまで迫れるか。田中金脈などを追究した立花氏によれば、ロッキード事件では検察の意気込みにもかかわらず、壁は厚く、50パーセント程度しか追究できなかったという。
 解明できたのは丸紅ルートだけで、「右翼の大物」の児玉ルートで流れた数十億の金の行方はつきとめられなかった。闇の勢力と政治家にわたったことは推定できるのだが。
 今回のライブドア事件で、どこまで究明できるか。特捜をひきいる検事は、ロッキード事件捜査のときの検事だという。
 いずれにしても、ライブドア事件はテレビなどで報道されていることより、もっと奥深い、日本の基層部分に触れる犯罪であることに間違いはないようだ。単なる粉飾決算や証券取引法違反について、特捜が100人もの大がかりな捜査陣を組むことはないだろう。
 日本の政財官と闇勢力の癒着の構造にたまった膿をどこまで解明できるか。要注目である。
by katorishu | 2006-02-05 05:09