世襲議員の弊害
2006年 02月 07日
自民党政治が、ここへきてガタガタになってきた。おごる者久しからずという言葉の典型例という気がする。
ライブドア事件、耐震偽造事件、防衛施設庁事件、などなど次から次へとボロがでてくる。それでもなお小泉内閣への支持率が50パーセントもあるとは。なんと人の良い国民なのだろう。
既得権益層をある程度、突き崩した点、小泉改革を一部ながら評価したいのだが、日本の美点であり強さのよりどころであった「中間層」を没落させ「格差社会」にもっていく政策は感心できない。
「成功者をねたむ風潮がある」と小泉首相は公言したそうだが、どこぞのオッサンが酒場などでいったり、小金持ちのオバサンが友達の集まりでいうのならともかく、日本国に責任をもつ首相のいう言葉ではない。
そもそも本人は「親の七光り」で代議士になった人物である。父と祖父が代議士でなかったら、代議士に当選することもなかっただろう。自民党議員に顕著だが、「世襲」「親の七光り」議員がなんと多いことか。
この国は封建時代かと疑いたくなる。
自由な競争を云々しているが、彼等は最初から下駄をはいているのである。裸一貫で首相にまで上り詰めた田中角栄元首相にも数々の問題があったが、この人は「成功者をねたむ」云々の言辞は吐かなかった。
中小企業の世襲なら害は少ないが、政治の世襲というのは困ったものである。地盤、看板、鞄の三点セットがないと、これまで選挙での当選はおぼつかなかった。その点、親からの世襲の恩恵にあずかれる人は100メートル競争を、10メートル前からスタートしているようなものだ。もちろん世襲議員の中にも、極めて優秀で政治家としての見識、哲学をもった人間もいるが、地盤、看板、鞄がないために政治家を志しても政治家になれない、更に優秀で適任の人材がいるはずである。
世襲議員は、本当に優秀で政治家としてふさわしい人材をしめだす働きもしているのである。そうして、周囲にあつまる「利権屋」代表という位置づけの人が圧倒的に多い。
親の恩恵で議員になった人間が一国のリーダーになったことの悪い見本は、ブッシュ大統領である。親の代からの石油利権の所有者で、石油利権を安定的に行使しようという思惑からイラク攻撃に踏み切ったという側面を否定できない。
イラクの惨状はひどい。根が世間知らずの「坊ちゃん」だから、足を踏まれる人間の痛みがまったくわからないのである。
政治の世界に限らず、利権の世襲がいたるところに蔓延している。
まず正すべきは政治である。 これを正すのは選挙民なのだが、残念ながら、利権のおこぼれにあずかりたいとすり寄る人が多すぎる。あるいは、世襲や親の七光りを、「家系がいい」とか「感じがいい」といったふうに情緒的に、人気投票のように選んでしまうのである。
今の流れを変えるには、選挙法を改正し、インターネッでの選挙運動を解禁するしかない。
インターネットをうまく利用すれば、あまり資金がかからずに、多くの人間に自分の政治哲学や政策、考え方などを伝えることができる。
インターネットは万能ではなく、多いに問題のあるツールだが、プラス、マイナスを差し引き計算すると、、プラス面が多いのではないか。
なにより、わずかな選挙資金ですむので、組織や金に頼らなくても立候補できる。人気投票の側面がでて、ポピュリズム(大衆迎合)が進む危うさがあるものの、すでにテレビなどで、その傾向は顕著なのだから、ここは敢えて試みるべきである。
烏合の衆の一面があるにせよ、地に足をつけて地道な生活をしている人間の「生活の知恵」や人を見る目というのをバカにしてはいけない。