思考が止まり、言葉に詰まる人へ
2006年 02月 15日
話題を呼んでいるブログの「きっこの日記」の正体をめぐって、いろいろなところで憶測、推測、噂が乱れとんでいるようだ。
ぼくは当初から週刊誌記者がからんでいると思っていたが、週刊文春系で、テレビなどによく顔を出している某有名コラムニストと、これも著名は戦場カメラマンがからんでいる、との情報が流れている。
真偽のほどはわからないが、「複数」の情報提供者がいることは容易に推定できる。噂が事実だとすると、彼等はマスコミでの発表舞台があるのに、なぜ匿名で発表しているのか。
背後に「意図」が隠されているという噂もあるのだが。
よく、わからない。
いずれにしても、面白い時代になったものである。匿名の個人や組織の発する情報が、瞬時に世界に向かって、容易に安価で発信される。
10年ほど前には予想もできないことだった。
携帯電話でのコミュニュケーションも普通になっているし、旧来のような一般電話や手紙などで連絡をしあうことなど、ある年齢以上の人に限られてきている。
じっさい、ぼくも人との連絡、情報のやりとりの7割はメールであり、2割が携帯。旧来の電話や手紙のやりとりは1割にも満たない。
これが良いことなのか、悪いことなのか。子供のときから、携帯やメールでのコミュニュケーションが普通になってしまうと、脳になんらかの悪い影響が出るような気がしてならない。
ぼくのように、子供のころテレビのない時代に育った「活字世代」は「便利」と喜んでいてもいいが、生まれたときからテレビがある世代は、問題がある。
五感をつかって人と人とが交流することは脳の発達と機能維持にとって、とっても大事なことのようだ。
そう。今のようなコミュニュケーションばかりだと、脳が危なくなる。
先の短い人はいいが、これから50年、60年と生きる人にとっては、大いに問題である。ところが、そういう「持ち時間の長い」若者に限って、脳のことを心配していない。
自分が利口だと思っているバカが、最悪のバカであるそうだ。自分は案外、本当の自分、つまり「自分の正体」に気づかないものなのである。
相手の話や質問に、その場で素早く反応し、引いたり、切り返したりできない人。質問されて、すぐに答えがまとまらない人、話しているうち自分が何をいおうとしているのかわからなくなる人、ちょっと長い話のできない人……気をつけたほうがいいです。(緊張したり、あがったりして、頭の中が真っ白になる人は別です)
人間は他の動物と違って、高次の脳機能をもっているからこそ、人間なのである。
その場では返事をせず、あとで「ゆっくり考えて」という習性が身に付いてしまうと、脳の機能が衰え、惚けがすすむらしい。
最近、老人ではなく若年層に惚けが増えていると、脳科学者が警告している。
「気心の知れた仲間」ばかりと接していたり、毎日きまりきったことを自動的に繰り返す仕事等をつづけていると、高次脳機能が働かず、本人の気づかないうちに、脳は衰えていく。
筋肉も使わなければどんどん衰えていく。同様に脳も使わなければ、どんどん衰える。筋肉などと違って、脳は見えないので、衰えに本人も周囲もなかなか気がつかない。
気がついてときは、もう手遅れ。
対応策としては、自動化された行動ではなく、常に新しいことを試み、高次脳機能を積極的につかうことだ。新しい人間と出会って、ある緊張感をもって対することもいいし、読書もいい朗読もいい。新しく外国語を学ぶのもいいだろう。
要は脳に「楽」をさせないことだ。肉体に楽をさせれば、筋肉は衰える。同様に脳に楽をさせれば、高次脳機能は衰える。
心臓の鼓動などを司る脳機能は、終始働いているので、楽をしていない。しかし、高次脳機能は、楽をすると休んでしまうのである。
楽に楽に受容できる装置の代表はテレビである。毎日、ぼやーっとテレビを4、5時間以上見ていれば、高次脳機能は確実に衰える。
思考や言葉につまったりするようになったら、以前、このブログでも紹介したが『フリーズする脳・思考が止まる、言葉に詰まる』(築山節著・NHK出版)を読むといいです。脳について優しく解説してくれています。