「天下り天国」が日本を滅ぼす
2006年 02月 15日
まるで春のような暖かい天気だったようだ。「ようだ」というのは、朝起きて、炬燵で3時間ほど仮眠してから外へ出たので、この暖かさは炬燵で暖まったせいかなと思ったから。服装は真冬並にセーターを着てその上にジーンズを羽織っていた。
携帯パソコンと資料をぎっし入れた重い鞄を、運動かわりにもって歩き、ふっと目についた暇そうな喫茶店にはいる。
複数の店をまわり、計7時間、執筆作業。3,4時間が経過したかと思っていたのに、それだけの時間がたっている。
春はすぐそこまで近づいているようだ。しかし、生活面で「春」がやってきている人は少ないのではないか。
小泉「親の七光り世襲議員」首相は、親父さんと祖父さんが培った「地盤」をそのまま引き継いで議員になった御仁だから、最初から「春」であり、冬の寒さも夏の過酷な暑さも、よくわからない。
わからないといえば、税金で食っている官僚たちも、中小零細企業主やそこで安月給で働いている雇員、派遣社員などの不安定な勤め人、フリーの人たちの気持ちなど、あまりわからないでしょうね。
現に、ぼく自身、昔、某特殊法人に籍を置いていたことがあるが、世の中の不景気などで生活が揺れ動く人たちの気持ちなど、あまり関心がなく、理解もしていなかった。
絶対に倒産もせず「休まず遅れず働かず」でいてもクビにならず、常に安定した給料が入ってくると、どこか神経が麻痺するのですね。
で、そういう条件にない人の悩みや苦しみが、分からなくなりがちです。
親類に零細企業の経営者などがいて、連帯保証人になったりすると、実感として感じられるかもしれないのですが。割合、周囲に気をつかうぼく(?)でさえ、そうなのですから、有名大学を出て難しい試験にパスしたと思っている「エリート」には、わかりっこないです。
自分が「エリート」だと思って他を見下している人は、じつは「バカ」なのですが、本人はそれに気づかない。最近流行の言葉を使えば、それこそ「バカの壁」です。
そういう「バカ」であるから、人の迷惑かえりみず我利我欲をかけるのです。
ところで、衆議院の調査で、独立行政法人や公益法人に天下りした国家公務員が、2005年4月の時点で2万2093人にのぼるという。
天下り先の3987法人への補助金交付額は、総額5兆5395億円とか。
調査は昨年10月、民主党議員の要請で衆院調査局が実施したそうだ。16省庁が所管する公益法人、独立行政法人や、国から補助金を受けている法人など、国家公務員の出身者数や補助金交付額を調べた結果だという。
読売新聞が伝えたもので、それによると、天下りが最も多いのは、国土交通省で5762人。うち2265人が天下り先で役員待遇を受けている。厚生労働省が3561人、文部科学省が2260人。
天下り先団体への国からの補助金などの交付金額は、文科省職員の天下り団体が国立大学運営交付金や私学助成などが含まれるため最多となり、2兆1588億円と全体の約4割をしめた。そのほかは、経済産業省が9091億円、財務省が8314億円とか。
まったく、国民をバカにするにも、ほどがありますね。納税者は怒らなければなりません。(もっとも、ぼくは低所得者の部類にはいり、煙草も吸わず、酒も少々しか飲まないので、納税額は少ないですが)
以前から指摘していることだが、日本はソ連や清朝政府と同様、「官僚天国」「官僚支配国家」である。
先の二つの国家は「官の腐敗」が極限に達し崩壊したが、日本もかなり危なくなっている。
天下りは「すべて厳禁」、高級官僚などが同期の一人が局長クラスになると他がやめるという制度もやめたほうがいい。
諸悪の根源は官僚支配システムであり、当初、小泉首相はこの構造にメスをいれるかと、かすかな期待感もあったのだが、結局、「改革」という衣を換えただけだ。衣をかえることで、本質を見えなくさせただけ、タチが悪い。
ソ連や清朝の崩壊によって、その後のロシア、中国がどんなに惨めな状況になったことか。(ごく一部のホリエモンのような人物が巨万の富を得たものの、大半の国民は悲惨な生活を強いられた)
そういう国に日本をしないために、一刻も早く小泉内閣は退陣してほしい。「ホリエモンは行き過ぎだったが、改革の動きにブレーキをかけてはいけない」などとテレビなどに出演している「ご用評論家、ご用エコノミスト」がのたまっているが、噴飯ものだ。
彼等はときに「弱者」の味方面をすることがあるが、所詮、高額所得者で、現在のシステムで十分に潤っている人たちだ。本人も家もその取り巻きもふくめて、現行のシステムがいいのである。金銭的に潤い、名誉欲、自己顕示欲を満たされたら、誰がこのシステムを進んで壊そうとするだろうか。(金子勝教授ほか何人かの例外もいて、彼等は小泉改革の嘘っぽさを鋭く指摘しているが。本質を鋭くつく評論家やエコノミストは、マスコミからお呼びがかからなく傾向があるのです)。
人間とはそういうものです。自己保存の本能が強く、ズル賢いから、ここまで生き延びてきたわけです。
ところで、去年の総選挙で小泉チルドレンたちに投票した人の多くが、「小泉改革」の被害者であり、「貧乏人」であることを思うと、なにやらブラックユーモアかと思えてしまいます。時の権力にもっとも痛めつけられている層が、時の権力の熱狂的な支持者にまわる、ということは歴史上、よく見られる現象です。マゾが多いのですかね、この国には。