コラム


by katorishu
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言っても甲斐のないつぶやき

 2月24日(金)
 トリノの冬季オリンピックで、日本はようやく金メダル。荒川静香がプリンスホテル所属というには、ちょっと気にはなるが、素直におめでとうをいいたい。
 テレビで華麗な滑りを見たが、肉体表現の極限をも見せられた思いで、素直に感動できました。何より体がしなやかで、動きが大きく見えた。表情もいい。近頃、稀な明るいニュースです。

 午後2時から六本木で放送作家協会の理事会。そのあと総会。いろいろと原稿の執筆があるので、終わって出席者とお茶も飲まずに、雨の中を真っ直ぐ帰宅。
 六本木というと、以前はテレビ朝日のことが連想されたのだが、最近では浮かぶのは六本木ヒルズであり、ライブドアである。
 耐震構造偽装事件等に続くライブドア事件、さらには皇室典範改正問題で、小泉政権は自壊すると思っていたのだが。
 これで立ち直るとしたら、小泉氏というのは世にも稀な強運の持ち主ですね。

 民主党の永田議員のチョンボで、一番喜んでいるのは武部氏や竹中氏だろう。 
 このところ、テレビで見る竹中総務省の顔色が冴えない。まさか、ライブドア事件と何か関係でも……と疑ってしまいます。そういえば、彼も決して豊かではない履き物屋の息子から、大臣にまで成り上がった人なのですね。
 昔の若者は「末は博士か大臣か」といった。
 竹中氏は位人臣をきわめ、さらに首相の座に意欲を見せていたという報道もあった。じっさい、小泉退陣後の「首相レース」で、「ダークホース」と見られていたのだが、ライブドア事件で完全にその目はなくなりましたね。

 親の七光り世襲大臣より、ましかもしれないが、
「努力した者が報われる世の中にしなければいけません」
 などと絶叫する姿を見て、悲しくなりました。
 豊かでない家に生まれながら本人の努力と才覚で時の人になる。そこまではよかったのですが、日の当たるところばかり歩いてきたので「庶民」のことをつい忘れてしまったのでしょう。
 ぼくの周囲を見ると、「たいした努力をしないで報われる人」が、「ますます報われる社会」になっています。逆に「努力をしても報われない」人が増えている。
 昔ほうがまだ、「努力をすれば報われる人」が多かったと思いますよ。

 じっさい、中小零細の企業やそこで働く人たちは、ほんとによく努力をしています。血の滲むような努力をしています。なのに、報われない。
 もちろん努力をしない人もいます。努力の方向が違っている場合もあります。

 ところで「報われる」とは一体なんですか。
 ホリエモンのように、金銭的な報酬を誰よりも多く独り占めにすることですか。そういうのは、「欲張り」とか「守銭奴」といって日本の社会では嫌われ者の最たるものであったのです。
 我欲をかかずに、成果を分け合う。そこに日本の良さがあり、多くの人が生き甲斐を感じて努力をしたからこそ、あの悲惨な廃墟から復興したのに。
「報われる」とは、自分ばかりではなく、他人も報われ、幸せ感を得るということでしょう。幸福感は必ずしも「金銭」と結びつきません。

 お金があっても不幸な人は沢山います。お金があったからこそ不幸になった人も多いのです。昔、宝くじの一等に当選した人の「その後」のことが週刊誌に出ていたが、幸福になった人より不幸になった人のほうが多かったと記憶しています。

 「お金がなくても幸せを感じられる社会」
 そんな社会を、持ち前の弁舌のうまさで国民を煙にまき、崩そうと懸命になっている。制度疲労を起こしている官僚システムを壊そうとするのはわかるのですが、ついでに日本社会の美点まで壊してしまったら、それこそ元も子もなくなります。

 
by katorishu | 2006-02-25 01:32