天使と悪魔の心をもつ怪物
2006年 02月 26日
珍しく午前8時起き。10時半から北千住の学びピアで、脚本アーカイブスの勉強会があり、それに出席のため。世の多くの人はおそらく、毎日これより早い時間に起きているのだろう。
寝たのが午前4時ごろだから、4時間足らずの睡眠。それもレンドルミンともう一粒、クリニックで処方された薬を飲んで強制的に眠ったので、目覚ましで起きたときの気分は最悪だった。
日本でも数少ないアーキビストの小川千代子氏が講師で、食事をはさみながら3時間ほど、貴重な話を聞いた。記録文書の保存といっても、いろいろな問題があり、一筋なわでいかないことがよくわかった。
デジタル化をして「保存」することの危うさなどについても、認識をあらためた。デジタル情報は「危機管理」の観点からも、まだまだ問題が多いようだ。便利さの裏にある危うさについて考えずにいられなかった。
出席者の一人でIT情報誌の編集長をしていたBさんが「デジタルとかITとかに、すごく不信感をもっています。はっきりいって、最近は嫌悪しています」と話していた。これは驚きだった。
デジタル技術は穴だらけであり、Bさんにいわせれば、数ある穴の弱点をつき、金融面で金儲けに結びつけたのが、ホリエモンであるという。
これが「愉快犯」のほうに向かうと、ハッカーとなるのだろう。
つまり、ホリエモン(役員などの仲間も含めて)はある意味で、ハッカーと同様なのである。今後、例えば数人の大学生が、インターネットの穴を利用して一つの国の中枢を麻痺させ、戦争に匹敵する大惨事を引き起こさないという保証はない。
SFの世界のような話だが、実際に起こり得ることである。以前、アメリカの学生がガードが堅いとされているペンタゴンの中枢のパソコンにまで入り込んだというニュースがあった。これから先、人類は案外、ごく少数の、つまらない連中によって滅びるかもしれない。
大変な世の中になったものである。
そういえば森首相時代「IT、IT」と叫んでいたのも、竹中平蔵氏だった。別にぼくは竹中氏個人に恨みがあるわけではありません。アメリカで経済学を学び、その理論を日本で国民相手に「臨床実験」したのではないかと思えてしまうのです。机上演習ならかまわないが、実世界に応用してみたくなる学者馬鹿がいるのです。
夜、アメリカで弁護士をしているK女史と長電話。事情があって、日本で弁護士事務所を開いているアメリカ人弁護士と一緒に仕事をすることになりそうだという。「守秘義務があるかもしれないが、面白い話があったら、そっと教えて」などと昔の同級生のよしみでいったりした。
物書き稼業というのは因果なもので、ひとの不幸が格好のネタになることがある。
光の裏には必ず影があるというのが、ぼくの持論である。世の中「悪」ばかりの人はいないし、逆に「善」ばかりの人もいない。「善人」を強調したり「美談」として祭り上げる人や現象があったら、必ず「裏」があると思ったほうがいい。
長所もあれば短所もある。賢くもあり馬鹿でもある。天使の心と悪魔の心をあわせもつ怪物。
それが人間なのです。
それでも圧倒的多数の人間は、天使の心と悪魔の心の比率が7:3か、せめて6:4ぐらいなのですが、これが3:7か2:8のような人がいるのですね。政治家などは、4:6ぐらいか。しかし、それでは「陣笠議員」ですね。2:8ぐらいでないと総理クラスにはなれないでしょう。
犯罪者の中には1:9という人もいますが、案外、8:2ぐらいの人が罪を犯してしまうのです。大人になっても「子供のように純な心」の持ち主は、世の中に適応しにくい。自分で自分を追い込み、自殺へと至る人もいるでしょうが、逆に「義憤」が世間にストレートに向かい、つい約束事(法律)を破ってしまうのです。
お前は……といわれると、うーん……5:5ということにしておきましょう。