刀削麺を初めて食す
2006年 03月 08日
北千住に久しぶりに行く。「学びぴあ」にある脚本アーカイブズ準備室での「編集会議」に出席。「研究報告書」を冊子にするのだが、試行錯誤の段階でまとめるので、原稿執筆もそう簡単ではない。デジタル化をめぐる問題で、侃々諤々。
デジタル技術について、現状では大いに問題があるということがよくわかった。デジタル技術の進化は早く、それが逆に障害になる可能性がある。
「デジタルのことは、本当は誰もよくわかっていないんです」とITに比較的詳しい人が話していたのが、印象に残った。
この新技術を熟知している人のほうが、この技術の危うさを強く指摘する。
今日もウイニーから行政の情報が漏れ出ており、このところ連日、事故が起こっている。
帰路、北千住の中華料理店で、「刀削麺」を初めて食べた。食への探求心旺盛な同業の津川氏につれられて行き、青島ビールとともに賞味した。
麺を包丁で削って湯に落としてゆでる。スイトンの味わいがあって懐かしかった。スイトンといっても、分からない人が多くなっているかもしれない。食糧難時代の食べ物で、うどんこを水で小さな餅のようにしたものを、煮込みうどん風にして食べた。手でちぎって入れるのが特徴だった。
なぜ、スイトンというのだろう。「代用食」であったが、今は、小料理屋などで結構いい値段で食べさせる。
北千住のある足立区は、東京の「最貧区」で生活保護を受けている人も最多であるそうだ。その反映なのかどうか、食べ物屋の料金が安い。量も多くて味も悪くない。路地が至るところにあり、面白い町だ。
乗換駅の秋葉原でおり、駅前のコーヒー店に入り仕事をしようとしたが、2時間ほどのうち30分は眠っていた。割に深く眠った。よほど脳が疲れている証拠だろう。
往復の電車内で、内田百聞(ケンの字は違うが)の随筆を50ページほど読む。東京オリンピック前後の世相を諷刺的に綴ったもので、軽妙洒脱、人を食ったようで実に面白く、含蓄がある。もう少しで電車を乗り過ごすところだった。
すでに鬼籍に入ってしまったが、夏目漱石門下の逸材で、以前は若い人にもよく読まれていた。ユーモアと諷刺、諧謔、韜晦があふれている。日本の名随筆家である。時々拾い読みをするのだが、いつ読んでも面白い。
もっと見習わなくては……と思ったことだった。