書き下ろしに一段落でホッと一息
2006年 03月 14日
■神谷町にあるテレビ東京に行く。夕方近くのワイドショーのプロデューサーをしているT氏に会いに。T氏がまだ学生のころ、渋谷の東武ホテルにカンヅメになっていたぼくのところに時々やってきた。当時、彼は4畳半一間の風呂もない部屋に住んでおり、シャワーをあびさせてくださいといって、やってくるのだった。
そんなT氏が月曜から金曜までのワイドショーのプロデューサーとなり、取り仕切っている。時間の流れを感じずにいられなかった。
彼の上司とともに昨今のドラマ状況について意見交換した。
■本日、懸案の書き下ろしノンフィクションの原稿を仕上げた。半年近くかかったのではないか。フーッという気分である。600枚近いので、編集者に長いといわれるかもしれない。内容が見合っていればいいのだが。明日、取材対象者で共同執筆者でもあるS氏に原稿をわたし、誤り等があればチェックしてもらう。(そのうち文藝春秋から出る予定です。自分でいうのもアレですが、かなり面白いので、出版の暁にはぜひ読んでください)
一段落がついたので、昔であったら、新宿あたりに飲みにいっていたであろうが、もうその元気はない。他にも書きたいことがいろいろとあり、明日からはまた心新たに、とりかかりたい。要するに時間が惜しいのである。
あと15年は書き続けるつもりで、書く素材には事欠かないのだが、そこまで体力、知力がもつかどうか。
■証券取引等監視委員会がライブドアを証券取引法違反(虚偽記載)容疑で告発したことを受け、東京証券取引所はライブドア株上場廃止を決めたという。
株主は紙切れに限りなく近くなったということだ。億単位で損をした株主もいるようだ。退職金を注ぎ込んだ人もいるときく。総じて「素人」投資家が被害にあっていると聞く。
株ではないが、以前、業界でのつきあいもあってゴルフをやっていたことがある。誘われてゴルフ会員権を買ったのはいいのだが、たった1回ブレーをしただけで売った。1000万円で買ったのだが、売値は150万円。(多少小金持ちの時期もあったのです)。1回のプレー代が850万円である。ずいぶんと無駄なことをしたものだ。
今それだけのカネがあれば、いろいろなことが出来るのに。あぶくで稼いだカネではなく、原稿料等を、それなりにつましく貯めた中から支払ったものである。
20年近く前のことだが、株で相当の資産を作った薬剤師がいて、100万円投資してくれればすぐ2倍3倍にしてあげますよ、といわれた。
もちろん断った。額に汗して稼ぐのが、人間のまっとうな生き方であると子供のころからいわれて育ってきたのである。
それが……バブルの時期には、周囲の空気にぼくも影響を受けた。フリーは収入が不安定なので「安全策」をとろうとして、相当額を雲散霧消させてしまった。
そうでなかったら、今頃、どこか外国のリゾート地にでもいって、自然を味わいながら、時折原稿書きをしたりして、のんびり「趣味的な生活」を送っていたのではないか。
幸か不幸か、そういうのんびりした生活を送れないので、例えるのもおこがましいが、借金に追われて書きまくったバルザックやギャンブルの借金におわれてせっぱ詰まって書いたドストエフスキーのように、書いているのです。
おかげで、暖衣飽食をしないので、成人病ともどうやら無縁のようであるし、脳の働きも快調で、作品を垂れ残せる。人間なにが幸いするかわからないものである。