コラム


by katorishu
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小泉訪中の「サプライズ」ありか

 3月19日(日)
■東京は寒風がふきまくった。春なので今年初めてコート類なしのジャケットで外出したため寒さが身にしみた。おまけに、講師をしている「ジョイントゼミ」の会場を別のところと勘違いして到着。慌ててタクシーで移動する始末。

■加齢にともなう記憶力の劣化はいかんともしがたい。10代、20代のころは、いろいろつまらないことが記憶に残りすぎて、むしろ困惑したことがある。通過すべき記憶は、通過して忘れていかないと、前に進めないということもある。恐らく、記憶を「貯めておく仕組み」がうまく働かなかったのではないか。無駄な、どうでもいい記憶が、ものを書く場合は重宝することもあるのだが。

■「週刊ポスト」に『小泉首相は電撃訪中でコロリと土下座する』というスクープ記事が載っていた。最近、小泉側近があいついで訪中し、外務省などの頭越しに、中国要人と会談をしているが、9月の小泉退陣にむけて「最後のカード」を切る地ならしではという観測だ。「最後のカード」とは8月の靖国参拝を首相在任中はやらないということで、それによって「日中首脳会談」を実現させ、悪化する一方の日中関係の打開をはかろうというものだ。

 中国に自動車を更に売り込みたいトヨタ自動車を筆頭とした「財界」の圧力があったと考えられる。独裁的権力をふるう小泉首相も、財界には弱い。
 民主党のお粗末な「チョンボ」で、支持率を回復した「強運の持ち主」だが、この勢いにのって首相辞任後、後継者への影響力を保持したいと考えているのだろう。そのためにも、「最後の」「劇的なパフォーマンス」が必要であると考えているに違いない。「主役」の座をしとめたからには、生涯「主役」であり続けたいのだろう。

 北朝鮮か中国が、パフォーマンスの舞台である。「週刊ポスト」は中国でやる、と見ている。
 一度権力の味を知った者はそう簡単には権力を手放さない。一種の業のようなものかもしれない。側近や支援者などの期待感や既得権益を守る必要もあるのだろう。そうして、最後は見苦しいほどあがきつつ権力にしがみつく。それがおおかたの権力者の末路である。会社の社長や組織の長にしても大同小異である。

■ただ、日本国首相の場合、影響力が大きいので、己の権勢維持のため、中国で下手な「手形」を切ったりすると、将来に禍根を残す。
 中国のかかえている最大の問題は「農村」と「環境」である。このふたつに日本がかかわることで「ビジネスチャンス」を狙っている企業が数多存在する。中国側の「官僚マフィア」ともいうべき人たちにとっても、「おいしい獲物」である。
 日中首脳会談という「サプライズ」を実現させるため、中国の農村対策と環境対策に日本から多額の税金を注入することになるかもしれない。「お土産」をもっていかなければ、中国側が首脳会談に応じるはずもなく、最近の小泉側近の訪中では、恐らく「お土産」についての話し合いが行われている……と、これまでの例から考えられる。

■日中ビジネスが発展するのは結構なのだが、そこに多額の税金が注ぎ込まれるとなると、問題である。日本国内で税金を使うべきところが沢山あり、そちらにうまく回っていっていないのに、権力者の面子や権力維持のために使われる。ODAの無償援助など、その類のものが多い。「総理案件」といったもので、戦後の歴代内閣で「習慣化」してきたことである。少しでも永田町の政治を知っている人にとっては「常識」である。
by katorishu | 2006-03-19 22:53