コラム


by katorishu
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「戦争 ラジオ 記憶」

 3月22日(水)
■勉清出版から『戦争 ラジオ 記憶』という本が届いた。国際日本学研究センターに所属していた3人のメディア研究者がまとめた労作である。その中の「ラジオ著作研究シリーズ」の章に拙作『もうひつとの昭和』がとりあげられており、「自著を語る」を執筆した関係で、送ってきたのである。
 今はテレビ、そしてインターネットの時代だが、つい50年ほど前までは新聞とともにラジオがメディアの主役だった。ぼく自身の体験からいうと、ラジオのほうがモダンでずっと知的であったなと思う。今のテレビは、ほんとに「ダサイ」「品がナイ」。20本に1本ぐらいは「見るに値るす番組」もあるが、ほとんどは時間の無駄。特にゴールデンアワーと深夜に流される番組を見ていると、日本人て、こんなに品のない民族だったのかな……と思えてしまう。(ぼくが品のある人間かどうかは別にして)。「ながら族」なのでラジオは子供の頃からよく聞いていたが、もっと知的で品があったと思います。もっとも、古い記憶なので、ぼくの脳内で「美化」していることもなきにしもあらずですが。

 ところで、「20世紀はラジオの時代」といわれたほどで、政治、社会、文化に強い影響を及ぼした。本書では、「東アジア」と「戦争」に焦点をあて、ラジオが「電波戦争」としてどういう役割を果たしたかを、貴重な資料をもとに解析していく。堅い研究論文と一般書の中間を目指したと著者は記している。大著で3500円と定価も高めですが、今のテレビやインターネットというメディアの原点がここにあるという気がします。興味のある方はぜひお読みください。

■ 衆院懲罰委員会で元民主党員の永田議員が謝罪したとのことだが、彼に偽メールをもちこんだ「フリーライター」の名前は明かさなかった。週刊誌ではとっくの昔に明かしているのに。明かせない特別の理由(金銭の授受等)でもあるのかと勘ぐられてしまう。
 民主党内からも辞職の声が出ているというし、どうも最悪の選択をしそうだ。偽メールとわかったとき、前原党首ともどもスパッと辞めていれば、まだ浮かぶ瀬もあったのに。「政権交代」が必要で、民主党にしかその役割が果たせないので、消極的ながらも支持したかったのだが、ダメですね。マス(大衆)の心をとらえなければ、政治家としては落第です。

 大事な案件がひかえているというのに、これでは与党を追究できず、「小泉翼賛体制」が強まるばかりだ。「格差社会」等をつくったのは、必ずしも小泉内閣だけの責任ではなく、旧大蔵官僚や1990年から97年ごろにかけても政権担当者にも責任がある。
 しかし、小泉内閣が日本の「アメリカ化」の傾向を助長していることは明らかであるし、一人の日本人として賛成できない。もちろんアメリカの良さはいろいろとあるし、採り入れるべき点も沢山あるが、日本には固有の文化、伝統があるし、守っていかなければいけないものが沢山ある。車などに乗らず自分の足で町を歩けば、「日本が壊れつつある」ことがよくわかる。

 壊して変えていかなければならないものは、もちろんある。「世襲議員」などその典型だが、これは強固になっている。「壊すべきもの」が、より強固になって、壊してはいけない文化や伝統が壊れていく。
 今の日本が一番だとして「我が家の春」を謳歌している人には「何をかいわんや」である。そういう人には「おごる平家は久しからず」という言葉を送りたい。
 
by katorishu | 2006-03-23 00:35