『クラッシュ」アメリカ映画の凄さ
2006年 03月 27日
■昨日は世田谷で「ジョイントゼミ」。会場の鎌田地区会館にいくまで、バスを降りてから40分もかかってしまった。二子玉川からちょっと先の多摩川沿いだが、道がくねくねしていて番地も順番になっていないし、商店街もなく、どこか地方都市の新開地、僻地という雰囲気だった。まだ、東京にもああいうところがあるのですね。発見でした。
■土曜日、春の陽気に誘われ日比谷までいき「日比谷シネシャンテ」でアメリカ映画『クラッシュ』を見た。今年のアカデミー賞受賞作である。ロサンジェルスを舞台にイラク人、黒人、メキシカン、刑事たちが織りなす、人種差別と偏見を主題にしたヒューマンドラマ。群像ドラマであり、9,11以降のアメリカの現実をうまく浮かびあがらせていた。
ヴィム・ヴェンダース監督の映画とともに、続けて見たアメリカ映画2作に感銘をうけたことになる。いずれも、ブッシュ政権と彼の取り巻き連中がつくる「リッチなアメリカ」ではない、多くのアメリカ人の生活の現実が描かれている。
車、ピストル、多文化多人種。それがアメリカのキイワードであり、巧みな構成でそれらをとりこみ、最後まで引っ張っていく。『ミスティックリバー』に匹敵する佳作だと思った。
なにより脚本がいい。映画もドラマも脚本がすべてを決するということを、改めて思い起こさせてくれた。
それにしては脚本家は、特に日本ではあまり恵まれないようです。ぼくの同業者たちも悪戦苦闘して、労多くしてなんとやら……と嘆き節がよく聞こえます。
■シネシャンテは宝塚劇場の地下にあり大画面なので、迫力があった。映画館にはいる前、劇場前には200人は超すかと思われるオバサンの群れ。宝塚劇場の公演が終わった直後で、出てくるスターをまちかまえているのだろう。50歳前後の女性が圧倒的多数だ。
宝塚の公演は20年近く前、汀夏子の公演を一度見ただけだ。ぼくの書いた昼帯ドラマに彼女がレギュラー出演していたので、その関係で渋谷公会堂に見にいった。ほとんどか彼女のファンで、ちょっとした動作、台詞に、みんな拍手喝采するのだが、こちらはどうも拍手できなくて、汀さんには申し訳なかったが、手をじっと膝の上に置いていた。
しかし、ファンというのはありがたいものですね。「お客様は神様です」といった演歌歌手の言葉は真実です。
■本日は品川神社にいったあと、品川図書館と、近くの喫茶店で計6時間、執筆。それで脳の疲労は極限に達した。帰路はカミサンとふらっといつもいく安居酒屋に。50台後半の客が圧倒的に多い店で黙って坐るとボトルキープしてある焼酎が出てくる。いつの間にか常連になってしまった。注文するものも、肉じゃがや冷や奴、キャベツの味噌炒め、ウドの酢みそといった類のもの。最後に鮭おにぎり。
■カネはないが、そこそこ健康で仕事が出来る「平和なニッポン」にとりあえず、感謝するべきなのだろう。ただ、最近気になることは「言論統制の波がひたひたとやってきていると思われることだ。日曜日のテレビ朝日のサンデー・プロジェクトで3回連続で特集するので、その一端をうかがい知ることができる。
「共謀罪」など一連の「言論統制」につながりかねない法律が今国会で、多くの国民の知らない間に通ってしまいそうなのである。番組では尾行、張り込みなど公安警察の現状をルポしていた。公安は起訴は問題ではなく、国家権力に刃向かう者をとにかく逮捕して、関係者にガサイレし関係資料を押収することが最大の目的のようだ。
水面下ではこういうことが行われているのだが、圧倒的多数の国民は気づいていない。
■公安警察は「闇の勢力と同じだ」と新右翼の鈴木邦男氏などもインタビューで語っていた。
今の日本は前期ファシズムである、と元外務省職員の佐藤優氏はどこかの雑誌に書いていた。国民の知らない間に通る法律は怖い。監視の目をしっかり開けていないと、気づいたときはクビに真綿がまとわりついている……。