セピア色の品川
2006年 04月 10日
■読みたい本、見たい映画等いろいろあるのだが、眼精疲労が激しく、目を休めないといけない。午後、北品川の品川神社前の参道付近まで歩く。露天商が10数軒出ていた。
お祭りかと思ったがそうではなく、区の主導のイベントで、地区会館で落語を演じたり、昔の品川の写真を「セピア色の品川」というタイトルで 展示したりしていた。
■同じ街角を、昭和初年から期間をおき、「定点観測」の要領で何枚かの写真にとって展示しているのだが、現在に近くなるほど、風情がなくなり、味わいがない。
ポイントは自動車であると思った。以前の砂利道の両側にある家並みはなかなか風情があるのだが、車の通行に便利なようにコンクリート舗装をし、電車を高架にしてしまったことで、町の景観が激変してしまった。
車の通行が増え、踏切で渋滞などしないようにとの配慮からであろうが、写真ではこのころから景観がかわり、どこの町かわからない平凡な町になっている。
車は「必要悪」かもしれないが、仕事で使う人以外はなるべく乗らないようにしたいもの。
■この世から車がなくなれば、どれほど町が落ち着くか。騒音のほとんどは車である。もはや車なしでは成り立たない社会をつくってしまったのだが、こういう「便利さ」「効率一辺倒」の社会にしてよかったのかどうか。
石油資源のピークも30年後にくることだし、環境は年々悪化している。そろそろ、人間は根本的な価値観の転換期にさしかかっている。
■便利さと引き替えに、日本の都市は確実に何かを失ってしまったことが、古い写真と比較するとよくわかる。
道の一角から、お囃子のいい音色が聞こえてきた。よくあるお囃子と違うぞ……と思ったら、「実演」であった。商店街で聞こえるお囃子は、街頭のスピーカーから流される録音したものが大半だが、あれには風情がない。
本日聞いたお囃子は、生の音なので、じつに心地よく耳にはいってきた。立ち止まって、しばし聞いた。畳屋と古い看板に出ていた。畳屋が店先を舞台に変えて、江戸の伝統をひくお囃子を披露していたのだ。
近頃、町を歩いていて、気持ちが洗われることは実に少ないが、本日はちょっぴり、救われた気分になった。