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言論の自由のない国の怖さ

 4月11日(火)
■「権力は必ず腐敗する」とはよくいわれることである。どんなに清廉な人でも「権力」というのは怖いもので、長年その地位にあると、慣れや惰性、取り巻きたちへの温情、ひいきなどが、本人の無意識のうちにも醸成され、腐敗、堕落し、専横に転化していく。
 そうさせないために民主主義国では「浄化装置」としての選挙があり、さらに言論の自由がある。言論の自由の要諦は「権力」に対する批判の自由である。

■指導者に問題があり、社会のシステム、法律などに問題があったとしても、言論の自由、つまり批判の自由があれば、時間はかかるかもしれないが、いずれ是正されていくものである。
 その点、今の日本はかなり不十分ながら「言論の自由」が確保されている。戦前の日本の最大の欠陥は「言論の自由」のなかったことであったと思う。

■世界には言論の自由のない国が多い。独裁国家はその典型で、共産主義国家も、言論の自由はない。言論の自由のない国の典型は北朝鮮である。
 11日、政府は、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの娘キム・ヘギョンさん(18)と韓国人拉致被害者の金英男(キムヨンナム)氏(44)について「血縁関係が存在する可能性が高い」とのDNA鑑定結果を正式に発表した。
 日本と韓国から拉致した被害者を結婚させていたことが、はっきりした。北朝鮮で「言論の自由」を享受しているのは、たった一人、金正日であり、拉致も彼の指示であることは間違いない。

■彼の父親で北朝鮮建国の父といわれる金日成からして、経歴は怪しくソ連によって「作られた」政権である。それを世襲して、古代の王侯貴族のような絶対権力を行使して、それが何十年も続いている。同じく言論の自由のない中国の支援がなければ、続くはずもない。
 世界的に見れば言論統制国家は減っているが、まだ相当数あり、自由を確保されていたと思っていた国や社会も、国民がちょっと監視の目をゆるめれば、統制色を強める。
「個人情報保護法」や、幸いいまだ成立はしていないが「人権保護法」など、法案の名称に気をとられ、「結構じゃあいか」などとノウテンキなことをいっていると、いつの間にか言論の自由を規制されてしまう。(「個人情報保護」などを徹底させると、ある特定の層(官僚など)に情報が集中し、一般の国民は必要な情報からも遠ざけられてしまう恐れが強いのです。情報の管理を組織的に行い、国民を統制管理する国のことを「警察国家」といい、旧ソ連や東ドイツに典型的に見られたことです)

■「民主主義」体制をとっている国でも、権力にある者は、人の本性として権力をなるべく長く維持したいと願う。ぼくは権力者になったことはないが、どうも権力というのは大変魅力のあるものらしい。
 ところで、権力維持のためには、政敵や自分に批判的な人や組織等々をつぶしたほうがいい。逆に、自分を褒め称え、ヨイショしてくれる人や組織を大事にする。それが権力を長く維持する秘訣である。
 現在ではマスコミの影響力が強いので、これをいかにうまく取り組むかに、当然、権力者は腐心する。

■今のところ、直接の言論弾圧はないようだが、さりげない形で世論を誘導することは行われている。当然のことで、個人をとっても、みんな自分が可愛いし人からよく思われたいという潜在心理があるので、自分を見る「周囲の目(世論)」をよくしたいと望む。
 会社や組織に広げても同じことである。当然、政府(権力)も、それを願い、自己に都合のよい情報はより多く、より広範に流したいし、逆に都合の悪い情報は出来れば流さず封じ込めたい。つまり「情報の統制」であるが、これは個人規模でも日々行っていることである。

■個人や小さな組織などの段階では害は少ないが、国家規模になると「情報統制」は害毒を流す。情報を統制し管理することによって「利益」を得る層と、「不利益」をこうむる層がわかれるからである。たいていの場合、情報を管理する層は、少数派で「リーダー」「指導者」「管理者」といわれる。彼等が「利益」「利得」を得れば、その分、当然、その他大勢の国民にがしわ寄せがいく。
 北朝鮮の現状は、そんな構図を、ジョークかと思えるほど単純明快に示してくれている。「不利益」を受ける側は、自由の拘束どころか生命の損失という過剰な不利益を受けているのである。

■21世紀の今、北朝鮮のような滅茶苦茶な国がよく存続できているものと思う。「成分」が悪いとして、どんなに努力をしても、どんなに才能があっても、報われず、生存ぎりぎりのところで生活している人が多数いるようだ。
 40年近く前のことだが、池袋の豊島公会堂で「千里馬(チョンリマ)」という映画を見たことがある。なぜ、そんな映画を見ることになったのか記憶にないが、北朝鮮が「理想の国」であり、人々は豊かで幸せに暮らしている……と賛美のエピソードにあふれていた。
 北への「帰国運動」の一環であったのだろうが、あんな映画を見て、「北朝鮮は素晴らしい。差別のある日本にいるより、あの国のほうが」と単純にナイーブに考えて、北に渡っていた在日の人や彼等と結婚した日本人も多かったと思う。彼等の多くは今、悲惨な状態にあるようだ。

■そんな運動を積極的にすすめていた組織のひとつが、日本社会党である。自民党とダッグを組んで、「55年体制」を支えていたのだが、結局、村山政権という面妖な政権を作ることによって、消えてなくなってしまった。
 表で「喧嘩」をしながら、下で手をつないでいた「55年体制」。それが機能し、日本という国がもってきた。「いい時代」であったかもしれないが、ある意味で「冷戦」のおかげである。

■「冷戦」構造が崩れた90年代から、日本は迷走状態にはいり、今も、迷走中である。
「言論の自由」さえ確保されていれば、日本人一人一人はそれほどバカではないので、いずれ落ち着くべきところに落ち着くと思う。しかし、「言論の自由」が、多くの人の気づかないところで規制されると、妙な方向にいきかねない。
 今、日本は重大な岐路にあるようだ。このまま限りなく「アメリカの51番目の洲」に近づいていくのか、「独立国」としての矜恃を保持した国になるのか、境目ですね。
 9月の小泉退陣、そして、その後の政界の動きから目を離せません。

■誰が権力を握ろうが、最低限「言論の自由」だけは守らないと、大変なことになる。
 根拠のない情報にもとづき、人を誹謗中傷することは「言論の自由」とは別ですが、「これはおかしい」「へんだよ」と思ったら、率直に声をあげておいたほうがいいかと思います。この程度のブログは誰でも安価につくれるのですから。
 ブログでの自由な発言を取り締まる動きが、今後必ず出るはずです。「目に余る」とか「社会の公序良俗に反する」といった大義名分のもとに。
by katorishu | 2006-04-12 02:44