すすむ和風への傾斜
2006年 04月 21日
■天王洲アイルというところがある。自宅から徒歩10分ほどのところにあるので、たまに足を運ぶ。IT企業等が集中し都内でも「先進地域」のひとつである。あのJALの本社も近くにある。
ここの商店街には洒落たレストランや高級品を売る店が入っている。ある部分を切り取ったら「ここがニューヨーク」といってもいいような場所だ。
本日、カミサンと散歩の延長で足を運んだが、土日はともかく、平日の商店街は閑散としている。これで、よくやっていけるなと思っていたところ、高級雑貨を売る店が閉店セールスをやっていた。他の店も軒並み、バーゲンセールで2割引き3割引の名札が目についていた。
■「景気は回復した」と政府はいっているが、果たしてそうなのか、とこんな「先進地域」の商店街を見て思ってしまう。
一方で繁盛しているのが、「安くてうまい店」である。「さくら水産」というチェーン店が出来ていて、以前、新宿の店に一度入ったことがあるが、なんでも海産物問屋が経営しているとかで、新鮮な魚介類を安価で提供してくれる。本日、夕食がわりに入ったが、洒落た洋風の店が閑古鳥がないているなか、盛況だった。
飲み屋業界で最近目立つのは「和風」の店が多くなったことだ。和風を売り物にしている店はほとんどが繁盛している。
■これをどうとらえたらいいのか。過度なアメリカ化、欧米化への反作用として和風への回帰が起こっているのか。そういえば、若者の間に「右」の傾向に賛同する層が増えている。
国粋主義、民族主義が胚胎している証拠なのか。この傾向の行き着く先が、まだぼくには見えないので、なんともいえないが、「和」への傾斜が庶民レベルで無意識的にも進んでいることは、注目すべき現象である。
■例の竹島周辺での日本の測量調査をめぐって日韓が緊張していたが、海上保安庁の測量船と韓国警備艦が衝突する「不測の事態」は、どうやら避けられたようだ。
日本の外務省も、外交交渉での解決を目ざし、とりあえず測量はやめている。
仮に武力衝突にでも至ったら、一気に東アジア情勢は緊迫化する。ここはとにかく話し合いで解決して欲しいものだ。交通事故死や自殺などで、いろいろなところで血が流れているのだし、これ以上、無益な血は流れないで欲しい。
■面子を立てることも大事なことだろうが、時にお互い面子を捨てることも大事なのではないか。面子とは中国語であり、面目や面体を保つことである。面子をたてたり、たてられたり、捨てたりしながら、人でも国でも、関係を調整していくのだと思う。以前から、ドラマとは人と人との「関係」を描くことだといっているが、「生きる」というのも「他者とどういう関係を保つか」に収斂されるように思う。最近、他者との関係を保つことが下手になっている人が多いという気がする。
対人コミュニュケーション能力の退化である。人間の脳の特性のひとつである、この能力の向上を、もっと学校教育で教育は力を注ぐべきだろう。
残念ながら、教師のほうに対人コミュニュケーション能力の減退している人が多いようだ。憂うべきことである。