コラム


by katorishu
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共謀罪の面妖さ

 4月21日(金)
■共謀罪などという面妖な法案が、国会で成立してしまうかもしれない。ボーダレス化の中、いろいろと国際的な犯罪も多発し、対策を考えるのはいい。しかし、具体的に何が犯罪なのか明記されずに曖昧な概念のもと適用される法律は、御免こうむりたい。
 取り締まる側の「拡大解釈」が一番怖い。戦前の治安維持法などその最たるもので、特高が怪しいと個人的に判断しただけで、しょっぴけた。

■共謀するといって、なにを共謀したら罪になるのか。「反社会的」なものと法案には記されているようだが、何をもって「反社会的」であるのか。曖昧である。
 官制談合など、反社会的の最たるものだし、子供の思考力を低下させるテレビ番組を集中的に流すのも「反社会的」といえないこともない。人によって解釈がわかれたりして具体性のないことは、法律には馴染まない。無理に法律にしてしまうと、ロクな事はない。

■すでに「個人保護法」なども実施にうつされたが、弊害が出ている。病院に知り合いが入院していて、見舞おうとしても「個人情報保護の点からお答えできない」といわれる。同窓会名簿などに、住所等も記入されない。それでは名簿の意味がなくなってしまう。「個人情報保護」は大事なことだが、個人にとって必要な情報が手にはいらなくなる。そうして肝心の情報を、一部の人間(大抵は公務員)に管理されてしまうのである。すでに本末転倒のことも起こっており、警察の事件捜査にも影響がでているそうだ。

■新しい法律をつくるには慎重でなければいけない。緊急性のあるものは別だが。 
 共謀罪なる法案のことを、多くの国民は知らなかったのではないか。どこか国民の耳目の届かないところでまとめられ、一気に国会を通過させてしまうのは、良くない。とくに言論の自由に抵触する恐れのあるものは、議論を煮詰めないと。
 与党から提出された法案は、当初の意図とちがって、拡大解釈され、恣意的に適用される恐れがまだ残っているようだ。こんな面妖な法律は、野党が頑張って成立を阻止して欲しいものだ。

■本日は16時起床。ダメですね、遅く起きると、すぐ暗くなってしまう。途中、電話で起こされたのだが、寝不足で頭が働かないので、また眠った。
 ところで、本日も中学生が殺された。最近、子供の殺人事件が妙に多いという気がする。それと、生活保護を断って餓死した事件。なにやら時代を象徴しているようだ。
 弱者にしわ寄せのくる社会になっている証拠である。政治は弱者保護を心がけなければ、ダメだと思う。強者の専横にまかせていては弱肉強食になってしまう。
 足柄山の金太郎は「強きをくじき、弱きを助ける」で大衆のヒーローであったが、今は学校でこんな伝説、民話を教えないのだろうか。

■「鬼退治」の桃太郎の話は教えるのだろうか。
 桃太郎の話は、どうも少数民族や辺地の異人を征伐した権力者の記憶の名残であるような気がする。伝説や民話には残酷なものがあるが、そこには何千年、何万年も前の文字のない時代からひき続く「口承文芸」の尾てい骨が残っている。あらゆる民族には固有の伝説、民話、さらには神話があり、今に生きる人の心の基層部分を形作っている。われわれは無意識のうちにも、先祖の「心の部分」も引き継いでいる、と考えるべきだろう。
 何気なく使っている言葉にも、その言語を使用する人間たちの、古い文化、伝統が案外色濃く残っているので、その言語を使用している社会で育てば固有の文化、伝統に自然に染まってしまう。そこに「民族性」が生まれる。
 韓半島に住む人は、いかにもそれらしいし、中国大陸に住む人は、いかにも……という風に。

■自由に発想し、自由に語っているようでも、先祖から連綿と続く習慣や伝習、思考法、感じ方などに、規定されている部分が、案外多い。日本語なら日本語自体に欧米語とは違うロジックがこめられている。60年前の敗戦で、日本人の思考法、生活習慣は劇的に変わったといわれるが、変わらない部分も多いようだ。日本語を基本言語としている限り、幸か不幸か「日本人的なるもの」から逃れることはできない。
 ものを考えるのは言語であり、日本人ならほとんどの人が日本語で考えている。日本語のボキャブラリーが貧しく、言語駆使能力が退化すれば、その分、思考力も退化すると考えていいかと思う。思考力強化のためにも、日本語の読み書き能力を向上させたいものである。
by katorishu | 2006-04-22 01:34