コラム


by katorishu
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対米従属派、衰退の兆し

4月23日(日)
■千葉県の衆議院補欠選挙で、民主党候補が僅差で勝った。さらに米軍移転でもめている岩国市長選や沖縄市長選でも反自公民候補が勝った。去年秋の小泉対米従属路線の「大勝利」にともなうおごりに対し、選挙民のコモンセンスが示されたというべきだろう。

■グローバリゼーションの導入をはじめ、ここ10年ほどの政府の対米従属路線には眉をしかめたくなることが多かった。アメリカの民主主義には学ぶべき点がいろいろとあるが、だからといって「日本の良さ」まで捨てて、アメリカのいいなりになることもない。経済面ひとつとっても、グローバリゼーションの結果、どれほどの富が日本からアメリカに流れたか。正確な数値はわからないが、天文学的数字になるにちがいない。

■多額の税金を注ぎこんで立ち直った旧長期信用銀行がアメリカ資本に買いたたかれたことなど、その一例であり、都心の不動産なども外資に買いあさられた。バブル期、日本の不動産会社などがニューヨークやハワイなどの不動産を買いあさったことに対する「復讐」の意味もこめられているのだと思う。アメリカは以前から次々と日本に要求をつきつけてきたが、小泉政権以前は、なんとかぬらくらと対応し、要求のすべてを受け入れるわけではなかった。
 なにしろアメリカの軍事基地がある日本である。占領政策の延長線上に今があるので、むげに断ることもできない。冷戦構造という枠組みもあって、曖昧な態度でかわせたのだが、ブッシュ・小泉政権になってから、「偏米」になってしまった。これはまずいのでは……という良識をもった人が、増えているのだと思う。それが選挙結果にあらわれたと思いたい。

■社民党、共産党の訴えている政策にも一部見るべき点もあるが、現実問題としてこの二つの少数政党が政権をとる可能性はほとんどゼロである。共産党など「共産」という文字をかかげている限り、じり貧になっていくに違いない。
 ここは、とにかく民主党に頑張ってもらい、政権交代をしてほしいものだ。民主党は「第二自民党」であり、仮に政権交代しても日本の政治はかわらないという意見があるが、ぼくはそうは思わない。
 政治は「人」がやることである。既得権益にしがみつき、錆び付いてしまっている人が交代するだけでも、大きな変化であり、そこから何かがかわる。悪く変わる可能性があるかもしれないが、すでに相当悪くなってしまっているのである。土壌に新しく鋤をいれることで、新しい芽がでる可能性がある。今回の選挙結果に一応の評価をあたえたい。

■渋谷で「放送人インタビュー」の件で、テレビ番組制作会社の稲塚氏にあい、2時間ほど話を聞く。稲塚氏はテレビ番組制作会社の嚆矢となったテレビマンユニオンの公募の2期生で、ここで制作の修行をしたあと、独立しタキオンという制作会社をつくった。会社は順調に発展し、ひところは100人を超える中堅の制作会社になったが、「やらせ」問題が発覚、その責任をとって稲塚氏は代表をしりぞいた。
 その後、社名をかえるなどしてテレビ番組の制作をつづけたが、例の銀行の「貸しはがし」「貸し渋り」などの影響をもろにうけ、数年前、12億の負債をかかえ倒産してしまった。

■個人保証をしていたので、氏は私財もすべて失い、自己破産をした。その後、小さな制作会社をつくり、細々と制作をつづけている。今年は文化庁の支援を受けてドキュメンタリー映画『二重被爆』を制作した。数人の社員だが、頑張って欲しいものだ。
 氏の「放送人インタビュー」はゴールデンウイーク後に、日本放送作家協会のホームページに載ります。
by katorishu | 2006-04-24 01:41