コラム


by katorishu
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

大事な活字文化

4月28日(金)
■月に一度の日本放送作家協会の理事会。六本木警察の裏手に事務局があり、そこの「教室兼会議室」で行われる。200メートルほど先に例の六本木ヒルズがあるのだが、一度も行ったことがない。行く気もしない。
 昨日は堀江貴文氏が保釈になり、それをテレビメディアがヘリまでとばして大騒ぎしたそうだが、その影で政権党は「共謀罪」の成立に向けて着々と手を打っている。言論の自由にとって、極めて重大な問題を含む悪法だが、多くの国民はあまり関心がないようだ。
 この法律の危うさについて、民主党のホームページで触れている。
http://www.dpj.or.jp/news/200604/20060427_03kyoubou.html

■理事会のあと、脚本アーカイブズの委員の会合。終わって、久しぶりに六本木の居酒屋で委員諸氏と飲む。熱い議論になった。なにごとかをやろうとする場合、最大のネックになるのが、カネである。貧乏団体なので、カネがなく、どのようにして資金を捻出するかに、問題は収斂していく。ない知恵を絞って、最初の関門を突破したいものだが。

■帰って小一時間仮眠をしたあと「朝まで生テレビ」を見る。本日のテーマは「テレビに明日はあるか」。それなりに興味深く見たが、パネリストが多すぎ、どうも議論が煮詰まっていかない。毎度のことだが、視聴率をとるために「面白く見せる」ことが優先されるのだろう。5,6人で徹底的に議論したら、問題をもっと深く掘り下げることができるのだが。

■今年になってから、ケーブルテレビに加入したおかげで、何百チャンネルものテレビを選択して見られるようになった。比較的よく見ているのは、アメリカのドキュメンタリー番組の「ディスカバリー」チャンネルと、BBC、CNN、それに朝日ニュースターである。いずれも日本の地上波テレビとは一線を画した内容で、問題を掘り下げている。とくにBBCは中東やアフリカなどの報道が多く、参考になる。日本語の通訳がはいることもあるが、多くは英語であり、キャスターのしゃべりなどについていけないことも多いが、だいたいの内容はわかる。

■世界を多角的にとらえるには、異なった角度からものを見ることが大事である。その点、BBCは面白い。「テレビ文化」というものがあるとすれば、質を高めるには、多チャンネル化しかないかもしれない。ただ、問題を深く掘り下げるメディアは、やはり活字である。総合雑誌や単行本を読まず、情報を地上波のテレビとインターネットだけで得ている人が多いようだが、そんな「安易」な手段では得られものもタカがしれている。

■テレビ局の報道関係者も、最近はインターネットで情報をとることが多いようだ。足をつかい汗を流して得られた情報にこそ「価値」がある。
 新聞記者なども、インターネットで情報を得て、紋切り型の記事を書く人が増えているという。この傾向は大いに、問題である。
 活字をよく読む層と読まない層の「情報格差」は、ますます広がっていくのではないかと思う。

■世界のテレビ視聴の調査で、テレビを見る時間が一番長いのは、日本人であるという。理由のひとつとして、「朝生」のパネリストの一人は、「日本のテレビは面白いから」と分析していた。
たしかに、「面白く」「心地よく」見せることにテレビ関係者は腐心している。しかし、「面白さ」は、麻薬的な側面をもつ。面白さ、心地よさは、人に思考を深める働きをさせない。CMがその典型で、意識の深部に感覚的に働きかけ、特にものを深く考えない人を「その気」にさせてしまう。怖いことである。
 元NHKの記者の手島氏の著書「ウルトラダラー」を読み始めたが、面白い。北朝鮮の偽札問題の核心にせまるもので、「小説」という形をとっているが、事実に依拠しているとのこと。外務省の「休職職員」の佐藤優氏が、絶賛していたので、読み始めたのだが、はやり時間をかけ、足をつかって得た情報だけのことはあるかと思う。
by katorishu | 2006-04-29 05:34