コラム


by katorishu
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車を持たないことの良さ

 5月4日(木)
■高速道路は連休の帰省や行楽で50キロ以上の渋滞が続いているようだ。渋滞の中に長時間いるほどアホらしいことはない。今は車を手放してしまったので、そんな無駄な時間の使い方をしないですむが、昔は車によく乗っていた。思い返せば、まったく愚かなことに時間を費やしていたものだ。
 田舎に住んでいる人は別だろうが、都会では車など仕事でどうしても必要な人以外は必要がない。(トヨタや日産は面白くないかもしれないが、実感です)

■車を持つことのマイナス面があまりに多すぎるのである。人と会うのでも道路の渋滞などで正確な時間に目的地に行き着けない。行っても駐車場の確保に時間をつかう。運転手つきの人は別にして運転しているときも気をつかいっぱなしだ。居眠りもできないし、読書もできないし、酒も飲めない。常に危険がつきまとい、無駄な出費を強いられる。(そのへんに適当に駐車ができた東京オリンピック前後のころまでは、それなりに快適でしたが。じつはぼくは割と早い学生のころから車に乗っていたのです)

■都内であったら24時間いつでもタクシーをひろえるし、地下鉄でほとんどの場所にいける。車をもつことのプラス面があまりに少ないのである。なのに、「ステータス」といいたいのか、車に乗ること自体が楽しいのか、若い男であったら女性とつきあうために必要なのか、みなさん、車などという高くて割りにあわない、環境に悪いものを、よく買いますね。

■広大な土地のあるアメリカであったら、車は必需品かもしれないが、狭い日本でなにもアメリカの真似をすることはないのに。ほんとに人まねが好きなんですね、みんな。
 中国でも最近はカー・ブームとやらで、ひところ北京の市街にあふれていた自転車にかわって車が氾濫しているようだ。トヨタなどが盛んに売り込みをはかっている「成果」だろう。自転車こそ環境に優しい最高の乗り物であるのに、それを弊履のように捨てるなんて。愚かなことだと思います。

■青物横丁で若い女性の脚本家と企画の件で打ち合わせ。雑談の折、この業界の裏の裏の一部をちょっと話した。前向きのアドバイスなども含めて参考にし、いい作品を書いて欲しいものだ。「数字」だけが唯一の尺度になってしまった今、なかなか困難なことであるだろうが。雑談のついでに、昔の「文学仲間」でもあった某芥川賞作家の名前をいったところ、まったく知らないという。今は大学教師に転じてしまったやはり某芥川賞作家の名前をいうと、「聞いたことがある」程度だった。

■最近は文芸誌にも作品が載っていないし、本もあまり出ていないようだから忘れられるのかもしれないが、それにしても、である。20年以上前は小説を読む人の9割以上は知っていた「著名人」であったのに。
 流行などの移り変わりがじつに早い。早すぎると思う。この早さは多くの人をあまり幸福にさせない。世の中がめぐるましく変わると、流行等についていくのに多くのエネルギーをつかってしまい、物事をじっくり味わう余裕がなくなる。

■余裕がなくなれば、心の安定が減ずる。見回すと、心の安定を得ている人が急激に少なくなっている。今後、精神的に不安定な人がますます増えそうだ。精神分析医や心理カウンセラーなどをもっと増やさなければならなくなるだろう。トラブルも多くなるので弁護士等も増える。ついでに監獄も。この点でもアメリカに近づいている。

■ところで、こうしているうちにも、例のむちゃくちゃな法律「共謀罪」が連休明けの国会で強行採決されるかもしれない。小泉政権になってから、言論の自由を侵蝕する法律が相次いで成立してしまった。ものを自由にいえなくなる社会は怖い。
 ロシアでは若者の間に「ネオナチ」的な排外主義が台頭している、とアムネスティ・インターナショナルの報告書に載っている。まだ全文を読んでいないが、大変気になることである。
by katorishu | 2006-05-05 01:03