コラム


by katorishu
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

総合雑誌は面白い

 5月12日(金)
■月刊の総合雑誌を読む人はどのくらいいるのだろうか。一番売れている「文藝春秋」でも数十万部であろうし、ほかは数万部程度だろう。図書館などにも置いてあるので、読む人はもっと多いかもしれないが。1億数千万の国民のうち、ほぼ毎月、月刊総合誌を読んでいる人は、数百万人程度だろうか。

■もったいないことである。それなりの紙数があるので、かなり突っ込んで論も展開されている。本日、『現代』と『文藝春秋』を買い、コーヒー店でひろい読みしたが、時事性に富んだ面白い記事が多い。多くは布団に寝っ転がって読むことになるが、愉しみのひつつである。『現代』の「ここまで来たらクーデターか革命だ!」という三人の対談など面白く読んだ。コラムニストの勝谷誠彦氏とジャーナリストの斉藤貴男氏、タレントの松尾貴史の3人で、「言いたい放題」という趣で特に巨大メディアについて大批判を展開していた。

■いずれも40代半ばで、メディアの「売れっ子」ともいえる人たちだ。「思想的に」(こういう表現は好きではないが)敢えて区切れば、勝谷氏が「右」で斉藤氏が「左」、松尾氏が「中間」ということになるのだろう。3人で、テレビメディアとサラ金・銀行との関係や、個人情報保護法が本来「個人の情報保護」で制定されたのに結果的に公務員を守るための法律になっていること、さらにネットで「異論があると、すぐ書き込むバカ」が多くなった……等々、かなり本質をついたことを話していた。

■3人のうちで斉藤貴男氏には一度、会ったことがある。「格差社会」など小泉改革をもっとも痛烈に批判しているジャーナリストの一人であり、スジの通った記事を書いている。勝谷氏のブログも時折読むが、相当過激で「朝日新聞批判」に満ちており、中国韓国を罵倒している。敢えて過激にしているのかどうか。論点の違う二人がともに週刊文春の記者であったというところが面白い。

■「小泉首相が一顧だにしていない人たちが小泉首相を応援している」と松尾氏が指摘したのに対し、勝谷氏が「ある閾値(いきち)を超えると、支配される側が変質しちゃうんですよ。権力を倒すのではなく、こびることで上昇しようとする。途上国のコネ政治がそれです」と応じていた。勝谷氏はその点で今の日本は「ある種、北朝鮮的国家として完成」していると指摘。さらに斉藤氏が「日本にとっての神様はアメリカ」であるとし「構造改革をして、何もかもアメリカと同じ仕組みにしましょう。そうすると、企業や金持ちが一番儲かりますよ」という社会になっていると指摘しているという。もっともなことである。

■ほかに『現代』では「児玉誉士夫、ダイヤと戦後史」、」『文藝春秋』は「団塊の世代」の10年後特集をしたりと、盛り沢山で、700数十円は安いと思った。
 ほかに『世界』や『論座』も読み応えのある記事がある。会員制の雑誌『テーミス』を年間予約で購読しているが、これはこれで独自の視点をもっていて面白い。「右」といわれる『諸君』などにも面白い論文が載っている。全部買っているわけではないが、図書館にいった折りざっと目を通すことにしている。逆に、もし自分がこれらの総合雑誌にまったく目を通さなかったら……と考えると、「視野狭窄」になり、ものごとの「判断を誤る」だろうなと思う。

■ところで、USA・TODAYによると、米国家安全保障局(NSA)は2001年の同時テロ事件の直後から米大手通信会社3社を通じ、アメリカ市民数1000万人を対象に数10億件の通話記録を収集していたという。当局はなんと理屈をつけようが、「民主主義」が泣く。嫌な時代になったものである。コンピューターによる大量の情報処理がなければ、そんな膨大な数の盗聴などできない。どこかで監視社会に強力な歯止めをかけないと、テクノロジーの発達によってさらに巧妙な盗聴が行われ、国民は知らぬ間に当局の統制管理されることになる。アメリカ社会の出来事はいずれ日本でも起こることなので、要注意である。

■本日は寝床で朝どころか昼近くまで本を読んでいたので、睡眠不足。目がしょぼしょぼで、頭の回転が悪く、ほとんど仕事にならなかった。数時間仮眠をしたとき、怖い夢を見た。屋外の原野に近い廃屋にいたのだが、周囲に野生のライオンや虎が姿を現し、襲われた。一緒にいた誰かが食い殺された。こちらもライオンに追われて追いつめられ、あわや食い殺される寸前、情けない悲鳴をあげて目がさめた。

■有線テレビで「アニマルプラネット」を時折り見る影響もあるのかどうか。もしかして、「先祖」は草食動物で、肉食獣に追われた「記憶」が遺伝子情報として伝わっているのでは……などと思ってしまう。月に1回ぐらいの割で非常に怖い夢を見るが、ライオンか虎に追われる夢が多いのである。ほかにも日々いろいろな夢を見ているのだろうが、たいていは覚醒時に忘れてしまっている。「夢は現実の裏返し」ともいわれるが、そうであることを願いたいものだ。
by katorishu | 2006-05-13 01:03