日本の若者の殺人率は異例に少ないそうだ
2006年 05月 20日
■本日東京は午後3時ごろまで久しぶりの快晴だった。が、夕方近く雨雲におおわれた。気象庁によると、東京の今月7~18日の日照時間は計15.8時間で、平年の23%にとどまり、ほとんど日差しがない状態であったという。
悪天候が続けば、このまま梅雨入りとなる可能性もあるとのこと。夏の異様な暑さも予想される。このところ日本は熱帯地方の天気に似てきているので、気になることである。
■BBCのニュースを見ていたら、中国で現在、揚子江の中流域に建設中の世界最大規模の多目的ダム、三峡ダムのことを伝えていた。堤防がほぼ完成し、17日、外国メディアに公開されたのである。堤防は全長2309メートル、高さは185メートルで、2009年に完成の予定だという。経済発展する中国のエネルギー需要をになうダムだとされているが、問題はこのダムが自然破壊を引き起こしていることである。
■ウエブ版、朝日新聞によれば、建設に伴ってこれまでに計約113万人の住民が移転を迫られ、水質汚染や希少生物の減少など生態環境への悪影響や土砂の堆積も心配されている。ダム本体には耐震構造が施されているが、水位が上昇した上流域では小規模な地震が頻発しており、沿岸部の土砂崩れ対策なども始まっているという。
便利さ快適さばかりをもとめると、裏返しの復讐を、自然から受けるということの典型例である。だからといって、物質文明の果実を存分に味わっている日本人が、中国人に対して環境破壊につながるから経済発展を抑制せよなどとはいえはしない。
財界などは中国経済の発展に便乗して、もちつもたれつの関係にあり、自然破壊に手をかしているともいえる。いずれ自然から手痛いしぺがえしを受けるに違いない。しっぺがえしを受けるのは、必ずしも豊かでない一般の国民であるというのが、なんともやりきれない。
■最近、朝日ニュースレターをケーブルテレビで見ることが多い。対談やデベート番組をじっくり見せるところが特徴である。本日、図書館とコーヒー店で5時間ほど時間をつぶし帰宅してテレビをつけると、自民党の加藤紘一氏と動物行動学者の長谷川真理子氏の対談を放送していた。
興味深かったのは、長谷川氏が日本では幼児殺しはもちろん、殺人事件も年々減り続けていると指摘していたことだ。テレビなどで連日凶悪な幼児殺しや殺人事件を報道しているので、凶悪事件が増えているのかと思ったら事実はその逆であるという。
「常識」といわれているものが事実や真実でないことは、とくに珍しいことではないが、殺人事件についても、そうであったとは。
■長谷川氏によれば、日本の20代前半は世界でも稀にみる「穏和で平和」な世代であるという。世界的にどこの国でも殺人事件を犯す率は20代前半が群を抜いて高く、グラフに描くと山なりになるとのことであるが、日本だけが例外で、この世代の殺人率はほかの世代と同じであるという。
■このことをどう解釈するべきか。長谷川氏は「良い社会になった証拠」と話していたが、ぼくは日本民族が衰退に向かう端的な表れではないかと思う。20代前半といえば性的なエネルギーが頂点に達する時期である。つまり生命力が活発になりエネルギーが過剰にあふれかえる。だからこそ人類は繁栄を維持してきたのだと思うのだが。
他の動物の発情期を見てもわかるように、性的エネルギーは個と個の争いの源である。雄同士が雌をもとめてぶつかりあうことは自然界では普通のことで、そんな生命力のぶつかりあいが、殺人事件の端緒になるケースが多いのだと思う。
■治安が安定していることも原因であろうが、ぼくはこの年代の殺人率が他の国に比較して例外的に低いのは、動物としての生命力の枯渇ではないのかと思ってしまう。ハングリー精神の喪失は、生命力の低下に通じる。
もっとも、青年層の殺人率が比較の上で高く、しかもすべての世代で率が低下するのなら結構なことなのだが。
殺人にまでは至らなくとも、他の犯罪の発生頻度やイジメなどはどうなっているのか。一方で、警察の検挙率が極端に落ちている。一般の犯罪は増えていて、殺人だけが減っているのかどうか。独断と偏見でいわせていただけば、犯罪者を逮捕することが使命の警察官のエネルギーもまた低下しているのではないのか。
動物行動学者の長谷川氏にこのへんのことも聞きたいものである。