卑劣な暴力団の言論封殺事件
2006年 06月 02日
■衣替えの季節である。以前は、この日を期して町をいく人の着ているものがガラッと変わったものだが、最近は季節感が喪失してしまったので、「衣替え」という言葉も死語になりつつある。
昔、ほとんどの高校は制服で男子は学生服に学帽をかぶっていた。6月1日になると、学生服の上着を脱ぎ、白いシャツになった。さらに学帽の上に白い覆いをつけた。
最近は学帽もほんとに見なくなった。軍服につながるというイメージをもつのだろうか。悪くない光景であったのだが。この面でもアメリカナイズが進んでいるという気がします。
■本日ショックであったのはノンフィクション作家、溝口敦氏の長男が山口組系とみられる暴力団の手で刺されたというニュースだ。溝口氏本人がテレビのニュースで話していたが、書き手の本人へならまだしも、関係のない家族に脅しをかけるとは、卑劣中の卑劣な行為である。
■世界のどの国にもマフィアやこれに類する組織があり、一定数の構成員等がいるものだが、日本のように暴力団がおおっっぴらに事務所をかまえ邸宅を誇示している例はほとんどないはず。アメリカでもロシアでも、マフィアのメッカのイタリアでも、彼等は公然と会社のように事務所をかまえていたりしない。
従来から警察とヤクザ組織の癒着が指摘されてきたが、背景にはそんな歴史もあるのだろう。今度の刺殺事件が、例の人気女性占い師の問題とからんでいるのかいないのか。気になるところである。
■1年間の自殺者数が昨年度も3万人を超えたとか。8年連続で3万人を超える人が自殺に追い込まれたわけである。今回の特徴は30代の男性の自殺数が急増したことだという。
この層だと、病気が原因の自殺は少ないと思われる。となると経済的破綻が原因なのか。どこかでちらっと目にしたのだが、安倍幹事長が、「格差社会」などは朝日新聞がつくりあげたもの……と私的な場面で話していたという。つい本音が出たということなのかもしれない。
■例のNHKと朝日の問題で、朝日新聞に不快感を抱くのは勝手だが、この方はやはり「格差社会」の現実を知らないのですね。「エリート政治家一家」に育った坊ちゃんが一国の舵取りをするのは問題である。「苦労人」も問題のある場合が多いが、「坊ちゃん育ち」の権力者だと、社会的な弱者に目が行き届かないのではないか。
ポスト小泉の首相としてもっとも人気が高いというが、政治家を「見た目」で選ぶとロクなことはない。
■もうひとつ気がかりなニュースがあった。出生率が過去最低の1,25であるという。過剰な人口をかかえる地上から人が減ることは歓迎したいのだが、急激な減りようは困る。
人口のピラミッドを保ちつつ高齢者も同様に減ってくれるといいのだが、うまくいかないようだ。今後、高齢者は増える一方であるのに対し、赤ちゃんは減り続ける。
急速な少子化は、社会のいろいろなところにヒズミをもたらすに違いない。
政府は企業などが「国難」をとらえて、義務教育費の完全無料化をはじめ、いろいろきめ細かい奨学金制度などを設け、教育にカネがかかるシステムを改めたり、産休の充実……等々、抜本策をとらないといけないのだが。指導者の目はずっとアメリカを向いている。そうして国民の多くがアメリカ一辺倒の政府にいまだ高い支持を与えている。「アメリカの占領政策」は未だ続いているそうだが、納得である。