コラム


by katorishu
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体調は晴れたり曇ったり

 6月6日(火)
■本日10時より今村昌平監督の葬儀であったが、午前中、体調が悪く出席できなかった。『今村昌平伝説』執筆に際してはお世話になったし、ぜひ出席したかったのだが、最近、不義理が多い。
 「昭和の妖怪」といわれた岸信介元首相は長寿の秘訣をきかれて、不義理をすることだと話したとか。ある年齢をすぎた場合、義理堅い人間は少々体調が悪くても集まりや冠婚葬祭に出席する。それで体調を悪くして寝込んだり、亡くなったりするケースも多いようだ。今村監督作品などを見たり、折に触れて監督の存在感、存在価値を語らせていただいているが、それでご寛恕していただくしかない。

■「持病」がひとつある。月に1,2回やってくるのだが、ギザギザに揺れるスジが視野の一部に生じ、ちょっとした視野狭窄になるのである。30年近く前からときどき起きるようになった。東京医療センターでCTスキャンやMRIをとってもらったが、「原因がわからない」とのこと。何人かの医者に聞いたが、病名も不明であった。
 たいてい10分ほどでおさまり、後頭部に軽い鈍痛が起きることがあるが、それ以外に支障がないので放置してある。本日もその発作が起きた。発作が起きると文字も読めない。ただ、じっと坐っているか横になる。ときどき、このまま脳がフリーズしてしまうのでは……と思うと怖い。

■芥川龍之介が晩年近く『歯車』という小説を書いたが、その中で似たような症状に触れていたと記憶している。それに類するものなのかどうか。数年前、1日記憶が途絶えてしまったことがあり、やはり東京医療センターで徹底的に検査をしてもらったが、「原因不明」とのことだった。その後、解剖学者の養老孟氏の著書を読んでいたら、スキーをしていて突然記憶が途絶えた……との体験を記していた。どうもぼくの症状と似ていた。原因は不明というのも同じだった。

■養老氏によれば、この症状は1回しか訪れないとのこと。コンピューターがリセットするようなことなのかどうか。養老氏によれば、比較的「頭の良い人」に起きるとのこと。
 手前勝手に「そうなんだ。頭がいいんだ」などと思いこんで安心することにした。
 芥川龍之介は自分の家系に精神病の遺伝子があり、そのため自分もいつ発狂するのか、と悩んでいたらしい。結局、「漠然とした不安」が原因で自殺してしまったのであるが。

■こう記したからといって、自分は「頭がいい」などというつもりはない。むしろ逆で頭の働きが鈍くて、「並み以下」と思うことなどしばしばである。
 一方で一週間に一日か二日は頭が冴え返り、「頭が悪くない」と思うこともある。大抵、ぐっすり眠れた日のことである。
 睡眠薬を常用しているが、熟睡して頭脳が冴えていると感じられるのは、週に1,2日で、時差ボケのような気分のときが2日ほど。あとは可もなく不可もなしといったところか。
 時差ボケのときに会った人と、冴えているとき会った人では、かなり違った印象をもつのではないか。昔連続ドラマを書いていたとき、「良いときと、悪いときの差が激しい」とプロデューサーにいわれたことがあるが、こんなぼくの脳事情が関連しているのかもしれない。

■子供のころから「ムラっ気」といわれてきた。小心なので他人の前では、「平静」「穏和」を装っているが。神経質で少々我が儘に育てられたことと関連しているのかどうか。母が70過ぎて間もなく惚けの症状が現れたし、遺伝子的にはどうも認知症があるかも知れず、脳の機能についてはことのほか関心があるのだが。さて、この脳細胞、いつまでもつことやら。
 書きたいと思っていたことを、早く書かないと、と思うのだが、いうは易く、書くは難しである。
by katorishu | 2006-06-07 00:23