コラム


by katorishu
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メディアから「逃げ回る」オリックスの宮内会長

6月7日(水)
■文科省で脚本アーカイブズについての打ち合わせ。芸術振興関連の課長補佐クラスの職員と意見交換。東京駅近くの「仮庁舎」なので、狭く雑然としている。ぼくは、逆に親近感を覚えた。
 渋谷ではなく日比谷公園近くにあったころのNHK本館を知っているが、古い建物で報道局など雑然としていたものの、人間の温もりがより濃厚にあったという気がする。カメラ取材部というのがあって、事件が発生するとカメラマンが16ミリのフィルム機材を手に飛び出ていった。新聞社等にも残っていた「手作りの良さ」が、便利さの裏返しとしてなくなってしまったなア、と改めて思ったことだった。

■近代化、美麗化とともに、社会の至る所で人の温もりが失われている。東京駅のレンガ建ての駅舎など、人の温もりの残る数少ない建物である。本日、丸の内側から建物を改めて見たが、ぜひ残しておいてもらいたい「文化遺産」である。
 器というのも案外大事なもので、極めて人工的で「きれいな」環境に日常的に身をおくと、当事者の意識しないうちに脳細胞の働き方に波及していく。

■カーブでも速度を落とさずに走行できる新幹線の技術を、JRの技術陣が開発したとニュースで報じていたが、到着までの時間を10分や20分縮めたところで、なにほどのことがあるのか。人を置き去りにして、技術開発に特化して邁進している「科学者」なる存在は、カネに特化してひたすら金儲けのビジネスモデルを追求している金融ブローカー等と、どこか似ていると思った。優秀な兵器、つまりいかに迅速に効果的に敵を殺傷できる兵器の開発に没頭している技術者なども同様である。

■「便利さ」はほどほどにして、仕事だけでなく日常生活でも「額に汗」をする生活をするのが、動物の一種である人間のあり得べき姿である。それと「精神性」というのか、藤原正彦氏が強調していたが「惻隠の情」である。どうも科学者も金融ブローカーも、この精神を失っているという気がしてならない。

■朝方寝て午後起き出すぼくなど、「まとも」ではないかもしれないが、ただ動物にだって夜行性がいる。動物の良いところはエサの獲得のために一匹一匹が汗を流していることである。他の上前をかすめとるハイエナやカラス等も若干いるが、多くは体を張って精一杯生きている。ここから人間は今こそ、見習うべきだろう。ぼくも見習って、体は張っていないが、脳細胞を張って冷や汗流して精一杯生きている、と思っているのだが。

■駅のキオスクで買った「夕刊フジ」の一面に、オリックスの宮内義彦社長のことが村上ファンドがらみで出ていた。代表が逮捕された村上ファンドに当初から資金の大半を出資するなど、宮内氏は相当深くからんでおり、メディア等も注目しているとのこと。
 宮内氏あっての村上ファンドである。ところが、宮内氏はマスコミから意見をもとめられても逃げ回るばかりであるという。規制緩和路線の座長をつとめ、村上ファンドやライブドアが濡れ手に粟の金儲けを出来るような仕組みをつくった責任者の一人である。

■なんのことはない、自分や自分の影響下にある企業に儲けさせるためのシステムづくりに邁進していたということではないのか。合法的といっても、自分たちの有利になるように政治家や官僚を動かし法律改正を行い、関連会社等を大もうけさせることに手を貸していた、と結果としていえる。

■そのことに、いくらかの責任を感じてもいいのに。逃げ回っているとしたら、日頃、オピニオン・リーダーとして社会に強い影響力をもつ人として、いただけない。もちろん、やったことすべてが悪いなどとはいわないが、マイナス面も確実にあった。小泉首相の権力が末期にきて弱まったきたためか、マイナス面が続々と顕在化してきつつある。
 特捜が、宮内氏から政界へと捜査の手をのばせるかどうか。注目したい。

■ところで、「景気回復」の証拠としてきた株価も怪しくなってきた。 東証株価が今年の最安値で、1万5000円割れ目前であるとか。世界的な同時株安価の一環であるというが、世界を牛耳るブッシュ政権のマイナス面がこういうとことにも反映されている。イラクでの死者も急増しているし、劣勢を一挙に挽回させるため、ブッシュ政権がイランへの先制攻撃とかとんでもない手段に訴えるのではないかと懸念される。
by katorishu | 2006-06-08 01:49