コラム


by katorishu
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きわどい均衡の元にある東アジア情勢

 6月19日(月)
■日中問題をあつかったノンフィクションの初校が出た。諸般の事情で予定より遅れて9月発刊ということになった。小泉内閣も退陣するし、日中関係がどう変わっていくか。いずれにしても読者の関心を呼びそうなな素材であるし、「読書の秋」なので、ふさわしい発刊時期かもしれない。
 版元は文藝春秋。タイトルは未定。

■この本とは直接関係がないが、台湾の陳水扁総統の娘婿が株のインサイダー取引で逮捕された。この事件を中国当局は、メディアを通して「陳政権」の腐敗だとして大々的にとりあげた。
 ところが、中国国民から意外な反応がもちあがった。そんな腐敗を追及できる「台湾の民主政治が羨ましい」とインターネットに台湾賞賛、中国批判の書き込みが殺到したとのこと。(産経新聞、6月19日)。
 皮肉なことである。中国当局がどう言いつくろうと、言論の自由がないことは明白である。言論の自由ほど「民主主義社会」にとって大事なことはない。

■一方で、13億(14億と過日中国人は話していた)の国民をひとつに束ねるには、言論の自由を許したり、複数政党を認めたら大混乱に陥るし、悪しきポピュリズムに陥るから中国に民主主義はふさわしくないと公言する中国政府高官もいる。
 中国は多民族、多言語国家であり、あれだけの数の人間を、ひとつの国にしておくのが、そもそも無理があるのではないか。連邦制などで地方に独立性を強めたほうが……と思うのだが、そんな言葉を吐くと、反中国の陰謀である……などと断罪されてしまう。

■東アジア情勢は、今後どうなるか予測がつかない。中国が一層経済力をつけ、軍事力を強化してくると、台湾問題が浮上してくる。台湾は「国内」であり、ここに統治をおよぼすことに外国が干渉するのは「内政干渉」であるという論理に、現在の中国は立っている。
 将来的に朝鮮半島問題より、中台関係のほうがはるかに深刻になるのではないか。ここにアメリカがからみ、そこにコバンザメのように日本が張り付いている。指導者は知恵を絞って武力行使だけは避けて欲しいものだ。
 
by katorishu | 2006-06-20 04:00