アフガンも泥沼化の様相
2006年 06月 26日
■イラク情勢は泥沼化の一途をたどっているが、ここへきてアフガン情勢も泥沼化に陥っているようだ。産経新聞ウエブ版によれば、多国籍軍と武装勢力の暴力の応酬により、6月だけで500人以上が死亡したという。
事態を憂慮したカルザイ大統領は22日、「国際社会はテロとの戦い方を見直すべきだ。アフガンでこれ以上、人々が死んでいくのは耐えられない」と述べ、親米路線や復興の遅れに対して国民の反感が高まっている現状に、強い危機感を示した。
■さらに18日付のワシントン・ポストによると、米軍が過去3カ月間に行ったアフガンでの空爆は340回に及び、イラクでの空爆160回の二倍以上にもなる。
多国籍軍が武力攻撃を激化すればするほど、タリバン勢力への共鳴者が増える悪循環に陥っているという。ブッシュ政権の狙いとは逆に、「テロの防止」どころか「テロの拡散」になっているのである。
■地上の人間の4,5人に1人がイスラム教徒という現実を直視すれば、彼等を力でおさえこむことなど出来はしない。アメリカ国民は9,11テロの衝撃があまりに大きかったため、力には力で対決するというブッシュを大統領に選び、アフガン戦争、イラク戦争を圧倒的に支持した。じつは大統領選挙は僅差でブッシュが選ばれたのだが、911で一挙にブッシュの強行路線支持にまわってしまった。
政治は「結果」で評価される。ブッシュ政権の強硬路線でテロは減ったであろうか、世界は安定化したであろうか。逆である。
■南米にはあいついで反米政権が生まれている。イスラム教徒の反米意識は強まる一方だ。反米意識の強い民族や国家に共通していることは、貧乏であることだ。世界の圧倒的多数が富裕であるなら問題は少ないが、圧倒的多数は貧乏である。
この層を「敵」にして安定がもたらされるはずもない。戦争や紛争の原因のほとんどは富の偏在から起きている。
■本日のテレビ朝日のサンデー・プロジェクトに竹中総務相がでて小泉政権は「奇蹟の政権」であると手放しにほめていた。この政権でずっと大臣でありつづけていたのは竹中氏一人であり、要するに自画自賛しているのである。
日本のアメリカ化を竹中氏が本気で考えているのだということが、よくわかる。ぺらぺらしゃべりまくり、自らのやってきたことが「絶対に正しい」として、「待てよ」と立ち止まって、成否を考えたりしない。
■人間というのはどんなに頭脳明晰な人でも間違うものである。試行錯誤しつつ、自信をもったり失ったりして、迷いながら進む、それが人間であると思うのだが、「頭脳明晰」な竹中氏の脳裏にはそういう「迷う」はまったくないかのようだ。
■竹中改革にプラス面があったことは認めるが、同時にマイナス面も強く出ているのだということ。それを少しでも感とる感度が欲しいものだ。理屈だけで割り切ってはいけないのだと思う。
村上ファンド、ホリエモン、木村剛……等々、みんな竹中氏のおともだちである。我欲をかき、果実を独り占めして、それは「国益になる」としてテンとして恥じない。
彼等のもらたした「競争原理社会」によって脇にやられ自殺寸前にある人のことなど、まったく視野にない。
■世界水準だ、などといって、ワールドサッカーの日本チームの敗退を、悪い例としてひいていた。こういうのを牽強付会、こじつけという。じつに、こじつけやレトリックのうまい人だ。単細胞や欲深人間や経験の浅い人はコロッと騙されてしまう。
自分のやること考えることは「絶対に正しい」と思いこんでいる人間が、権力を握ると危ない。