コラム


by katorishu
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加藤健一事務所の「木の皿」公演は素晴らしい

 6月29日(木)
■暑い一日だった。午後、文春でノンフィクションの本の打ち合わせ。そのあと、渋谷の喫茶店で仕事をしていたところ、パソコンの表示がまた不具合に。電源を切ったりつないだりして、なんとか回復したが、厄介なことだ。

■カミサンと落ち合い、下北沢へ。本多劇場での加藤健一事務所公演「木の皿」を見る。8時開演と思いこんでおり、7時半に劇場についたところ、すでに始まっていた。金曜だけ8時開演で、それが記憶に残っていたための誤解。7時開演だった。
 幸い、小田急の電車事故があったため、開演を15分遅らせたとのことで、開演後20分後から見たことになる。ぼくはすでに「プレ公演」を見ているので、地方公演をへたあと、どう芝居が発展し熟しているか、そのへんを見たかった。舞台は「生き物」で、毎日のように出来不出来がかわる。以前に作演出をした経験から、実感していることだ。

■さすが、公演を積み重ねただけのことはあり、引き込まれた。それぞれ重荷をかかえている中年の子供たちが、老いた父親を老人ホームにいれるいれないで、軋轢が生じ……といった展開の家庭劇だ。アメリカの作品で昭和28年が初公演とのことであったが、なにより脚本が良いので、二度目なのに新鮮であった。
 胸にジーンとくる場面が随所にあり、最後まで引っ張っていく。最近、家庭の問題に真っ向から取り組んだ真摯な家庭劇が、テレビドラマからすっかり姿を消してしまったが、演劇の場では健在であり、嬉しかった。

■カミサンと会わせて1万円の入場料は安いくらいである。アメリカの古き良き時代のドラマで、今の日本の家庭問題と通じ合うものがある。さまざまに考えさせる内容を含んでいた。なにより台詞がよく、役者たちもそれぞれの個性を際だたせていた。生の舞台は良い……とあらためて思ったことだった。

■終わって、近くの居酒屋で出演の鈴木一功さんたちと軽く飲食。加藤健一氏も隣にきていたが、早々と帰って行った。マネージャー氏に秋以降、ぼくが聞き役、まとめ役となる雑誌の連載インタビューに登場願えたら、と……ぼく個人の意向を伝えておいた。編集部の意向を聞かなければならないが。
 一貫して舞台で洋物をプロデュースするとともに主役を演じている加藤健一氏に敬意を表したい。一功氏の話では加藤氏は年に200本もの脚本を読んでいるとか。芝居が本当に好きな人のようだ。インタビューできるとしたら、そのときが楽しみである。
by katorishu | 2006-06-30 02:18