コラム


by katorishu
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北朝鮮、テポドン発射の愚

 7月5日(水)
■北朝鮮がテポドンやノドンを発射した。発射の脅しだけで実際は発射しないのではと思っていたが、愚かにも発射した。あの国の指導者には国際情勢に対する見方に決定的な欠陥があるとしか思えない。恐らく軍部の強硬派からの圧力があったのだろう。常に国内を過度に緊張させておかないと、体制がもたないので、ますます意固地になる。

■日本政府は直ちにこれまでにない強い「制裁措置」を打ち出した。これも北朝鮮にとっては予想外であったのではないか。中国やロシアなど比較的北朝鮮に友好的な国をふくめ、どこも北朝鮮のやり方を支持していない。
 独裁国家のもっとも悪い部分が露呈してしまった。今後、北朝鮮は経済的にもさらに追いつめられるにちがいなく、その果てに窮鼠猫をかむように暴発する可能性もある。

■北朝鮮に石油資源等はほとんどなく、朝鮮戦争のときのようにソ連などの支援もえられないので、仮に暴発したとして効果を発揮できるとは思えない。早晩、この政権は自滅するだろう。金政権が自滅したあと、相当の混乱が予想される。韓国と中国がどう対応するかで、混乱の程度が決まるだろう。
 
■東西ドイツのように簡単に統一が進むとはおもえない。北と南では経済力他で差が開きすぎている。朝鮮半島の混乱は日本にも当然、波及する。どんな影響を受けるか、北の「実情」についての情報が少ないので、そう簡単に予想はできない。
 はっきりしていることは、混乱のしわ寄せをいち早く受け、生きること自体が困難になるのは庶民であるということ。言論の自由のない社会は、じつに困ったものである。

■ラジオドラマに出る「少年」たちの台詞の特訓につきあう。ラジオは声だけで表現するので、役者の優劣がはっきりでてしまう。それだけに、逆にぼくはこのジャンルに期待を抱いている。久々にラジオドラマを書いてみて実感したことだった。
 ラジオドラマを聞く人は極めて限られた人のようだが、もう少し「音の豊かさ」に関心をもってくれる人が多くなれば、落ち着きをとりもどす社会になるのだが。そういうぼく自身、最近はあまりラジオドラマを聞いていなかった。

■夕方、文藝評論家の末延氏と軽く飲食。何十年か前のように、文学の話をおもにした。江藤淳の夏目漱石論や諸々文学についての話。末延氏は現在、高知新聞に寺田寅彦について連載している。科学者である寺田寅彦の随筆家としての業績に触れる著書は多いが、文学者としての評価は近年あまりなされていないとのこと。その面に触れるユニークな「寺田寅彦」像を浮き上がらせてくれることを期待したい。
 国文科の近代文学研究者のうち、江藤淳の漱石論を読んでいない人が案外多いと聞いて驚いた。「研究者」なるものの狷介さ、偏狭さであるとしか思えない。見解の違うものは、遠ざけ読みもしない。それでまともな研究ができるのだろうか。他の分野の「研究者」の間でも似たようなことがあるのではないか。
by katorishu | 2006-07-06 03:39