コラム


by katorishu
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北朝鮮、近づく独裁国家の末路

■新聞、テレビのニュースは、北朝鮮のミサイル発射問題に多くをさいている。日本は国連安保理に制裁をもとめる決議案を提出した。が、常任理事国である中国とロシアは反対の姿勢であるという。国連に期待したいものだが、考えてみれば国連は第二次大戦の戦勝国によってつくられたもので、日本やドイツなどには「敵国条項」が適用されている。

■日本は今なお形式的には「敵国」なのである。それでいて国連の分担金の負担ではもっとも多くの金額を出している。日本は何度となく「常任理事国」入りを望んだのだが、「強固な同盟」を結んでいるはずのアメリカの賛成を得られなかった。
 なにかの本で読んだが、日本では評価の高いキッシンジャー元大統領補佐官が内輪の席では日本のことを「ジャップ」と蔑称で呼んでいたということだ。アメリカ指導層の日本に対する見方の本音の本音はそんなところだろう。 
 日本国内に実質的に部落差別問題が残っているように、世界には人種差別が残っている。表向き「ない」ことになっていても、現実には存在しているのである。

■政治の世界は一筋縄ではいかない。まして国際情勢は複雑微妙であり、北朝鮮をめぐる中国とロシアの間にも、水面下では微妙な腹の探り合いや駆け引きがあるに違いない。
 ひところ金正日総書記はロシアに接近しているとの観測が流れたが、「朝鮮人民民主主義共和国」をつくるにあたって金日成を全面的に支援していたのは旧ソ連である。
 朝鮮戦争の際は中国の毛沢東とソ連のスターリンの間で対立が顕在化し、結局、毛沢東が周囲の強い反対を押し切り、戦争に介入、義勇軍という名の軍隊を送って一時は米韓軍を朝鮮半島の南端まで追いつめた。それに対し、マッカーサーが米統合参謀本部の反対を押し切り仁川奇襲上陸を成功させ、戦況をかえた。

■あの戦争はまだ「休戦」のままで継続しているのである。最近、盧武鉉政権が親北朝鮮政策をとり、「南北統一」を正面から政策として掲げているが、北がこういう軍事的示威行動を起こすと、それもむずかしいだろう。
 北朝鮮は更にテポドンの発射に踏み切る準備をすすめているという。外交カードとして、すでに北朝鮮はそれしかないと、専門家が話していた。独裁国家、権力世襲国家の哀れな末路というしかない。権力とは関係のない一般国民のことが深く懸念される。

■渋谷で「論座」の編集者と打ち合わせ。北朝鮮問題が当然、話題になる。北への強硬政策をとると、拉致されている日本人が窮地に陥ることはないのかどうか。こちらも傷ましいことである。それにしても、金正日という人物。何を考えているのだろう。昔、フィリピンの独裁的なマルコス大統領が、ハワイに「亡命」することで、フィリピンのクーデターが成功したことがあるが、金正日と彼の一族を中国かロシアに「身の安全」を保証して亡命させ、体制転換をできないものか。
 金正日の死まで待てというのでは、国内で飢餓線上にある多くの国民はたまらない。かといって、イラクに対するようにアメリカが先制攻撃などしたら、東アジア情勢は大変なことになる。北朝鮮の軍部が「玉砕」精神を発揮して、とんでもないことをしでかさないよう望みたいものだが、さてどういうことになるか。
by katorishu | 2006-07-07 02:28