朝まで生テレビ
2006年 07月 09日
■テレビ朝日の名物番組「朝まで生テレビ」を見た。北朝鮮によるミサイル発射問題がテーマだった。もともとは小泉政権の5年間を総括するつもりであったが、急遽テーマをかえたようだ。そのため、人選に難があった。重村早稲田大教授など何人かの専門家がいたが、政治家、とくに野党の政治家は、北朝鮮、日中問題の「素人」すぎ、知識も見識もなく、議論がかみあわなかった。
■北朝鮮を擁護する人が出ていれば、ずっと面白く有益であったのに。総連系の人や日中問題の専門家など、無名の人でもいいから、探せば有為の人物はいるはずである。今回は人選に難があったので、新味に乏しかった。外務省を「起訴休職中」の佐藤優氏などが出れば、別の角度からの指摘があっただろう。
■どうしてもテレビは視聴率狙いで新しい素材にとびつくが、時間をかけて議論を深めていく番組なのだから、準備の時間も必要である。司会の田原氏の独断ぶりもかなり鼻につく。自分がちょっと気に入らないと発言者の発言を強引にさえぎってしまう。東海大学教授で中国出身の葉千栄氏の発言など、再三遮っていたが、彼の発言をもっと聞きたかった。
■朝生という言葉で知られるようになった、この番組。テレビ番組のなかでは比較的面白く、5回に4回の割で見ている。この番組がはじまった当初、テレ朝の報道番組のスタッフから「あれはプロレスみたいなもんですよ」という声を直接聞いたことがある。娯楽番組の延長上で、とらえていたふしがある。それを、政治討論番組として定着させる上で、田原氏の存在は大きかった。
■それと当初から担当していたプロデューサーの日下氏。去年、あるフォーラムで日下氏とご一緒したことがある。すでに病魔に冒され入院中の病院から会場にかけつけたのだった。
日下氏は今年春、亡くなられた。テレビ局員としては珍しく自分のポリシーを明確にもっていた人で、テレビの長所短所を知り抜いていた。訃報を聞いたとき、ほんとの惜しい人を亡くしたと思った。
■佳人薄命の逆で、どうでもいい人間が長生きする傾向がある。90歳を超えて活躍する聖路加病院の日野原院長など、例外中の例外である。
社会的に有用なことをしない高齢者は、せめて世の中や周囲に害毒を流さず、謙虚に質素に生きてもらいたいもの。ただ、だらだらと自己中心に生きるだけでなく、次世代になにか意味あるメッセージを残してもらいたいものだ。自分の孫にでもいい。「人の道」といったものを、お説教じみた態度でなく、日々の言動のなかで次世代に伝えていって欲しいものだ。態度で示す、それがもっとも人を動かすのである。