コラム


by katorishu
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もうひつとの怖い指標「地球暗化」

7月16(日)
■昨日、BBC放送で「Global Dimming」というドキュメントを見た。「地球暗化」というもので、地球温暖化とともに今後の地球の環境にとって怖い現象が起きつつあるようだ。新しく生まれた気象学の概念で、大気中に放出された塵や埃が、太陽光線を反射させ、地球の温暖化にブレーキをかけている、というのである。

■地球暗化がなければ、温暖化はもっと進むはずで、逆に大気汚染を減らすために大気に放出される塵や埃など人間のエネルギー活動の結果放出される粒子を減らそうとすると、太陽光線をはねかえす割合が減り、地球の気温が上昇する。研究者の試算では今世紀末までに、地上の温度は最高10上昇し、人がすめなくなるところが急増する。

■地球温暖化がいわれている現在、結構ではないかと思われるかもしれないが、じつは「地球暗化」によって更に恐ろしい事態が進行しつつあるらしい。
 じつは地球暗化によって、温暖化がゆるやかであるため、二酸化酸素の排出量の規制がゆるいということのようだ。本当はもっと上昇すべきものが、暗化によって抑制されているため、一層、地球環境の劣化が進みつつある。

■ここまでくると、地球環境改善の試みが、地球の温暖化を促進する働きをするといった皮肉で恐ろしい事態をもたらしているという。進むも地獄、引くも地獄、といった状況になりつつあるようだ。
 このまま人類による大量のエネルギー利用が続くと、今世紀末に平均気温が最高で10度上昇する。こうなると、熱帯、および亜熱帯地方は人類が住めなくなる。
 さらに南極の氷もとけ、海水面も7メートルほど上昇し、海岸ぞいのほとんどの町が海中の没する。

■恐ろしい事態で、戦争の被害どころではない。今の段階で石油エネルギーなどの使用を抑制し、車などの使用を減らさないと、取り返しのつかないことになる。現実的な危機は数十年後に迫っているとのことで、このBBCの番組が放送されてオーストラリアなどに強いショックをもたらした。BBSの放送は日本でも放送されたのかどうか、ぼくが見たのはケーブルテレビの放送だった。

■人間が増えすぎ、エネルギーを大量消費しなければならないことの行く末に、人類破滅が待っている……。見終わって暗澹とした気分になった。多くの人にBBSの番組を見てもらいたいものだ。トヨタや日産などの自動車メーカーはじめ、電気メーカーなど、こういう情報はなるべくふせておきたいと思っているに違いない。国民の多くが不安を抱いたら、車などの販売は激減するであろうから。
 
■最近の異常気象も天の警告ではないかと思っている。
 本日は午後1時半からラジオドラマの収録につきあう。ラジオは映像がないので、ごまかしがきかない。ちょっとした声のトーン、息づかいが微妙に役柄に影響する。微妙な風の音は小鳥や虫の声……等々、自然のつくりだす千変万化の微妙な音に、どうも最近の人間は鈍感になっている。小説などもそうだが、抽象度の高いジャンルが弱くなっていることは文化の衰弱につながる。 
 7時間ほどかかって収録が終わり、演出のK氏と軽くビールを飲みながら、昨今のドラマ状況、テレビの現況などについて話し合った。「知的でないと良い役者になれない」とは演出のK氏の言葉。同感である。断っておくが「学力」と「知的」とは別のものである。

■ドラマづくりに多くのエネルギーをさいてきた者として、二人とも現況に対してはどうしても否定的な意見が多くなってしまう。作り手としては、地味ながら、ひとつひとつを丁寧に根気よく創っていくしかない。「見るべきひと(聞くべきひと)は見てくれる」という確信というか自信が今こそ必要なときはないかもしれない。
 放送に限らず、日本社会全体に「悪貨は良貨を駆逐する」というグレシャムの法則が働いているような気がしてならない。
by katorishu | 2006-07-17 01:38