社会保険庁の底なしのでたらめ
2006年 07月 23日
■西葛西の映画学校にいく。来年度の新入生向けの「体験学習」を頼まれた。が、やってきたのは在校生のみ5人。監督志望2人、脚本家志望1人、配給宣伝志望2人。映画の基礎になるシナリオがいかに大事か、さらに言語がいかに大事なものであるかを力説。映像表現の質をあげるには、言語駆使能力を向上させ、思考を鍛えるのが基礎の基礎である、といろいろなところで話している持論を2時間にわたって話した。
■昨日、テレビ朝日の報道ステーションで社会保険庁のでたらめぶりを特集していた。なんと13もの年金手帳をもっている人がいるという。信じられないことだが、65歳以上の国民で、誰のものか不明の年金手帳が2500万もあるという。支払っているのに、不払いになっている人も相当数あるらしい。いかにいい加減な仕事をしていたかに慄然とする。税金の無駄遣いもいいところである。加入者数がもっとも多い国民年金でのでたらめである。
■一方で、グリーンピアなど多額の年金で建てた無用の長物の建物がある。これにむらがったゼネコン、天下りした社会保険庁職員らは、なんらかの形で責任をとってもらいたいものだ。すでに現行制度の年金は破綻している。
公務員の年金がもっとも優遇されているのも納得しがたいことである。組織等の守られていない「一般国民」とくに中企業経営者や不安定な雇用者らが、国民年金という低額支給年金にはいっているが、月に4,5万円の支給である。これではとても老後の生活を維持できない。預貯金をもっている人も長びく不景気や銀行の低金利などで相当程度目減りしているに違いない。
■これでインフレにでもなったら、さらに弱者にシワヨセがくる。財政赤字を解消する最もてっとり早い方法はインフレを起こすことである。ハイパーインフレは財務省や政府とも望んでいないだろうが、消費税など大幅値上げかインフレによってしか、財政赤字は解消されない。それほど国の負債は天文学的数字にふくらんでいる。
■小さな政府を訴えて登場した小泉政権は、5年間で財政赤字を増やしてしまった。
社会保険庁のでたらめぶりは、なにもこの庁独自のことではない。ほかの省庁や行政機関も大同小異ではないのか。
国家公務員も地方公務員も戦後は「天皇の官吏」から「公僕」つまり国民に奉仕する存在に生まれ変わったはずなのに、それはタテマエであった。デフレ傾向のなか、公務員の給料は実質的にあがりつづけてきたといってよい。教師などの給料は最近減額されているらしいが、それでも退職金は手厚い年金などもふくめてた「生涯賃金」では国民の平均所得をはるかに大幅に上回っている。すくなくとも、大企業等の平均ではなく、中小零細企業もふくめた労働者の平均程度にすべきだろう。
■あわせて、意欲と創意にあふれた有能が公務員と、遅れず休まず働かずの凡庸な公務員とで、給与面でも差をつける必要があるだろう。平均給与を低くしたら優秀な人が公務員にならないという意見があるが、そんなことはない。民間には、低い報酬で立派な働きをしている人がいくらでもいる。無能な公務員はやめてもらって、民間から新たに募集すれば、いくらでも有能な人間を補充できる。
■小泉首相が先ずやるべき「改革」であったが、これをまったくやっていない。一部、「政商」のような人物と、これにまつわる層に利益をもたらし、日本の伝統文化を破壊したすることに寄与した政権、とぼくは評したい。既得権益の一部を確かに破壊したが、破壊すべきところを破壊せず、破壊してはいけないことまで破壊してしまった。次の政権もこのまま小泉路線を踏襲するのだろうか。
まだ破壊の中途なので、引き返すことが出来るのだが、このままどうしようもないところまでいってしまう可能性が強い。そうなれば、逆に政権交代の芽が出てくるのだが。田中康夫氏と元自民党代議士の一騎打ちとなって長野県の県知事選挙が注目される。田中氏が勝てば、来年の参議院選挙で与野党が逆転する可能性がぐっと強くなる。