コラム


by katorishu
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森あるか『長男の結婚』

 7月27日(木)
■アメリカ産牛肉の輸入が再開されるという。アメリカ追従政策をとる小泉政権の「最後の置きみやげ」なのだろう。危険性があるなか、アメリカの圧力に屈したといってよい。ぼくは肉類はあまり食べないので、影響は比較的少ないが、それでもインスタント食品などに巧妙にまぎれこむ可能性が強い。
 もっとも日本産の牛肉も安全という面から見ると問題なしとはいえないようで、むしろアメリカ産のほうが安全だという人もいる。

■食の安全は国民すべてがかかわることなので、金儲け優先の自由競争にゆだねてはいけない部分があるはずである。しかし、一部業者の損得勘定から、政府や官僚も重大なことを簡単にやってしまう。
 以前このブログで紹介したが「地球暗化」の問題も、じつは食糧問題以上に深刻だ。車や飛行機の排気ガスが大きく影響しているようで、今の状態のままエネルギー消費をつづけると数十年後には、地上の温度がもっとも高いところで10度上がる可能性があるという。アイスランドなどの凍りもとけ、海面があがり、沿岸にある都市の相当部分が水没する。専門家は警告を発しているのだが、多くの国民に伝わっていかない。

■マスコミは自動車会社は家電業界などを大スポンサーとしているので、この問題を正面切ってなかなかとりあげない。
「地球暗化」が国民に広く知られたら、恐らく車の売り上げが何割かさがってしまうだろう。低公害車などを開発しているものの、これだけの車が地上にあふれていたのでは少々、燃費効率のよい車を開発をしても、環境悪化をふせげるものではない。

■国連などでも最重要課題として取り組まなければいけないのだが、エネルギーを大量消費している先進国は、自国の「経済発展」の首をしめることになるので、触れようとしない。その間にも悪化は進み、取り返しのつかない所までいってしまうのではないか。
 人類がやがて直面する最大の危機としてこの問題をとらえ、資料集めをしたりセミナーなどに出席して研究を深めたい。

■日刊現代によると、例の「村上ファンド」疑惑は福井総裁だけの話ではなく、村上ファンドに群がって荒稼ぎした連中は政、官、財に100人近くいるとみられているという。第2の「リクルート事件」となる可能性もある。「政官財ぐるみのインサイダー」とみていいだろう。日刊現代によると、「政権周辺にインナーサークルが形成されています。オリックスの宮内義彦会長が規制緩和を訴え、その規制緩和に村上世彰やホリエモンが便乗。日銀の福井総裁がゼロ金利でマネーゲームを下支えする構図です。全員が人脈図でつながっている。もともと福井総裁と村上世彰は接点がなかったが、宮内会長がつないでいます。しかも、皆がウマみを享受する関係です」(経済ジャーナリスト・松崎隆司氏)とのことだ。マスコミは総力をあげて、この問題の闇をえぐり出してほしいものだ。

■梅雨があけたと思ったが、まだらしい。夏空とは無縁の湿った日であった。もっとも午後起きだしたので、午前中は晴れたいたのかもしれないが。
 ぼくを小説の「師」(の一人?)と思っている森あるかさんが『長男の結婚』という本を出した。自費出版を大々的にやってい文芸社が一般から公募した小説で、2081編から選ばれた大賞受賞作である。以前、彼女からメールで受賞したとの連絡を受けた。
 文芸社は問題をかかえている出版社と聞いている。自費出版をした人が何人も訴えを起こしているケースを、ジャンジャンというウエブ新聞で読んだことがある。

■それとは別に、森さんの受賞を素直に喜びたい。7、8年前であったろうか、昔の文学仲間がはじめた「丹沢文学」という同人雑誌に、森さんは「保険セールスレディ」という長編を発表した。雑誌の合評界にぼくもアドバイザー役で顔を出し、彼女の作品をほめた記憶がある。軽妙な筆致で独特のユーモアが漂っていた。しかし「純文学」を標榜している古いタイプの文学老年の多い中、彼女の作はかなりけなされていた。

■ぼくは、「同人」の中でプロになれるとしたら彼女だろうなと思っていた。その後、彼女はスペインを舞台のオバサンのパック旅行の題材を小説に書き、文庫書き下ろしで日の目を見た。4年前であった。その後も彼女はインターネット上でずっと書き続けていた。小説ではないが、彼女の記した「ペンヨンジュン協奏曲」という文章は面白かった。韓国ドラマ、とくにペンヨンジュンにはまったオバサンの熱狂的なのめりこみを、彼女自身の実体験としてユーモラスにつづったものだった。
 知り合いの韓国放送作家の関係者に読んでもらったところ、面白く韓国での出版も……という話も出たと聞いている。
 文章にリズムがあり、エンターメント向きの才能をもっている。これを契機に、さらにオバサンを主人公にした面白い作品を書いてもらいたいものだ。
by katorishu | 2006-07-28 00:32