コラム


by katorishu
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17年ゼミ 

 8月20日(日)
■17年セミというのを御存知だろうか。CS放送であったかぼんやり見ていて初めて知った。17年ごとに大量発生するセミで、一生のうち17年間を地中ですごし、地上に出てわずか1週間たらずで死んでいく。セミの幼虫がは1年間、地中にあることは知っていたが、17年間……というのはすごい。17年の生涯のほとんどは暗黒の地中で過ごすのである。たった1週間のために、17年間準備をする。地上にでて1日で羽化して、1週間ほど命の限り泣き続け、交尾して子孫を残して死んでいく。

■17年ごとに大量に地上に出るのだが、幼虫は競争で木にのぼるので、はみでる幼虫が大量にでる。アメリカの某洲での話だが、羽化できずに死んでしまった蝉殻が木の下に大量に堆積していた。当然、小鳥や猫などの餌食になる。が、大量発生するので、生存競争を生き抜いた強い者が子孫を残していく。17年という時間に驚くと同時に感動した。
 なぜ、17年も地中にいるのか、研究者にもよくわからないらしい。

■いずれにしても、生命というものについて、いろいろと考えさせられる。ケーブルテレビをいれてから、「アニマルプラネット」や「ナショナルジオグラフィック」というアメリカかイギリスの動物ドキュメンタリーをよく見るが、人間もこういう動物の一種なのだと思うと、妙な気分になる。
 自分の命をつなぐため以外に「欲」を出さない動物の「謙虚」さが、愛おしくなる。そうして、あらためて「強欲」な人間の驕慢さ、身勝手さに思いがいく。

■本日はカミサンの誕生日。誕生日といっても嬉しくもない年齢だが、近くの台湾キッチンで、とりあえず「お祝い」の食事。
 過日、役者の冷泉公裕氏からいただいた「諸国漫遊」というCDを聴きながら、これを記す。冷泉氏は団塊の世代で確か文学座の出身かと思うが、最近、朗読と歌のコンサートを一人で続けているとのことだ。自作の音楽やエッセーなどもまじっているようだ。
 歌はプロではないので、「うまい」とはいえないが、味がある。冷泉氏自身の人生行路がさりげなくこめられているようで、面白く拝聴した。
by katorishu | 2006-08-21 01:35