ヒストリーチャンネルで見る暗澹たる光景
2006年 08月 22日
■最近、ケーブルテレビのヒストリー・チャンネルをよく見るが、見るたびに暗澹たる気分にさせられる。アメリカが作った「戦記」もので、本日、アメリカがマスタードガスによる日本攻撃計画を相当程度進めていたことを知った。「戦争を早く終わらせるため」の作戦だというが、この計画が実施に移されると、700万から900万人の死者がでると見込まれていた。
■25の主要都市がすでに候補にあがり、そこをマスタードガスなどの化学兵器で攻撃するというもので、着々と準備を進めていた。現在、国際法で禁止されている毒ガスである。沖縄戦での日本軍の抵抗が予想を超えたものであり、このまま「本土決戦」に突入すると米軍にも多大の被害が出るので、日本の抵抗力をくじくための措置であったという。
毒ガスのかわりに二個の原爆を落としたのだが、毒ガスであったら、さらに広範に被害がでて、ぼくなど今生存できていたかどうかわからない。負けるべき戦争をはじめた旧日本軍の指導者は責められるべきだが、「戦争を早く終わらせるため」というアメリカの身勝手さも責められるべきことだ。
■いずれにしても戦争は悲惨という一語に尽きる。沖縄戦での米軍士官の証言として、日本軍捕虜は訊問のあと、その場で後頭部をピストルで撃ち射殺したり、喉をナイフでえぐって「処分」したという。相当数にのぼるらしい。東京裁判で問われた捕虜虐待の最たるので、ジュネーブ条約違反である。アメリカ軍も日本軍に劣らず残虐なことをしていたという事実は忘れないほうがいい。
それが戦争というもので、勝ったほうが正義などと、とてもいえはしない。
■大量破壊兵器をつくりだし、「総力戦」という戦争のひな形をつくりだしたのは「欧米列強」である。彼らが武力による植民地獲得に積極的に乗り出したことが、そもそもの端緒である。日本軍部が悪かったというだけでは、問題の解決にならない。現に、日本軍が壊滅したのに、相変わらず戦争は続いている。現代の戦争の主役はアメリカであり、ほとんどの戦争にアメリカがからんでいる。しかし、アメリカ国民の多くは自分たちは「正義」であると思いこんでいる。強者の思いこみは恐い。
■本日、下北沢の駅前劇場で劇団立見席の舞台を見る。湯布院でアマチュア劇団を主宰している岩男淳一郎氏の作・演出『あばずれ女の子守唄』。8年ほど前、渋谷のジャンジャンでの公演を見ているが、それ以来だ。毎年、東京で2日ほど公演を行っており、その度に案内をもらっていたが、ずっと見ていなかった。今回見て、格段に進歩していると思った。岩男氏はつかこうへい劇団の初期のころ俳優として所属していたという。
つか流の舞台で、とにかくパワフルで、テンポがいい。今回の主演のヤンヤンの小気味よい台詞まわしが印象に残った。欲をいえばきりはないが、アマチュアをここまで牽引してきた岩男氏にエールを送りたい。