コラム


by katorishu
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青少年犯罪の凶悪化の原因は「脳内汚染」

 8月29日(火)
■高校生が30万円で友人に自分の母親殺害を依頼し、母親は死んだ。こんな類の青少年による、ブレーキがきれてしまったとしか思えない犯罪が多発している。終戦直後の昭和20年代に比べると犯罪数もずっと少なく、年々犯罪件数は減っていると指摘する学者もいるが、子が親を殺すとか、殺す理由もないのに小動物を殺すような気分で簡単に殺人を犯してしまう青少年が増えている。

■このブログで何度か紹介した『脳内汚染』(岡田尊司著)の指摘している通りのことが頻発しているのである。テレビさらにはゲーム、パソコン、携帯などに過度に浸っている結果、多くの子供の脳がおかしくなっていることと関連していると考えるべきだろう。
 ゲーム等を一日3時間以上、毎日やりつづけると、脳がおかしくなることは、科学的に証明されているそうだ。コカイン、覚醒剤でも、使用しはじめた初期においては、害よりもむしろいいことばかりが起こるように感じられる。ところが、長期間、継続するうち、行動も性格も別人のように変わっていく。「その点は、有害なゲームやビデオも同じである」と岡田氏は強調する。

■人間の脳は本来、ブラッド・ブレイン・バリアー(血液・脳関門)という仕組みによって、有害な物質から特別に守られている。この仕組みのおかげで、たとえ有害な物質が体内に入っても脳は被害を受けない。ところが、向精神薬や麻薬、麻酔薬といった特殊な物質は、このバリヤーを超えて脳に達する。

■岡田氏によれば、テレビゲーム機などの「情報刺激」は、視神経や聴神経、知覚神経を解して瞬時に脳に到達してしまう。ここが怖いところである。
「テレビ・ゲームをすることも覚醒剤を注射することと同じようにドーパミンのリリースを引き起こす。情報刺激は、物質的な刺激と同様、脳の中では、結局同じ神経伝達物資の濃度上昇という生化学的信号に交換される。情報処理システムである脳にとって、入力が物質的な刺激であろうが、感覚的な情報刺激であろうが、結局同じなのである。情報という感覚的な刺激が溢れた、この世界においては、物質以上に情報が、脳にとってははるかに有害で危険な脅威となるのである」(『脳内汚染』)

■つまりゲーム機などの「情報刺激」は脳にとっては、麻薬や覚醒剤と同じと思っていいようだ。麻薬や覚醒剤は厳しくとりしまられているが、同じよう脳に有害な刺激をあたえるゲーム機などは、日々コマーシャルなどで喧伝され推奨されている。現代社会に生きる人間は、麻薬や覚醒剤が政府公認、企業推奨のもとの社会に生きているようなものである。
 いくら、モラルがどうの教育がどうのといってみても、犯罪は増えこそすれ減ることはない。肝腎の脳が汚染されてしまっているのだから。「臭い臭いは元から絶たねばダメ」などというCMがあったが、元が腐っていては、どう取り繕おうと、改善されることはない。

■この怖さ、恐ろしさに、政治家も教育者もマスコミも、ほとんど気づいていない。岡田氏の書を、もっと多くの人に読んでもらいたいものだ。パソコンが一般に急速に普及してから、たかだか10年である。携帯や高性能のゲーム機の普及も似たようなもの。脳にとってはまことに悪い「空気」が社会をおおってしまった。特に悪い影響は、喫煙などと同様、長い時間をかけてやってくる。情報汚染の状況に20年、30年と汚染されつづけた脳がどうなっていくか。生まれたときから、この「汚染」にひたされている子供への影響はもっと多大だろう。多くの国民に自覚されたときは、もう決定的に遅いのである。脳の汚染をなくすのは、溝を掃除するように簡単にはいかないのである。
 テレビの長時間視聴やゲーム機を連日、長時間つづけることの「害」は覚醒剤などの害に劣らないのだということを、教育の現場でも指導していかないといけないのだが。
 なにしろ、ゲーム機メーカー等は、儲かっており、メディアの有力「スポンサー」になっているので、阻止にまわるだろう。大手の家電メーカーもからんでいるし、多分、「危険ではない」という屁理屈をこねてくるに違いない。
 安倍晋三氏の本などより、『脳内汚染』がベストセラーになってくれればいいのだが。
危機がほんとうに目の前に見えるようにならないと、危機を危機として自覚しない人が多すぎるような気がします。『脳内汚染』には貴重な情報がぎっしるつまっているので、これをお読みになった方、ぜひ、本屋で買って読んでみてください。瞠目すべき内容です。

■前日にひきつづき六本木に。朝方、ひどい咳がでて、小児喘息をやったときを思い出した。咳止めドロップなども買ってなめ、なんとか回復し、午後2時からの日本放送作家協会の理事会に出席する。クリニックにいく時間はとれなかった。
 理事会では、20数人の同業者と意見交換ができるので、必ず出席するよう心がけている。いろいろと実りある話題、問題点などが議論された。
 終わって事務局の近くの喫茶店で、何人かと雑談するのも恒例となっている。ペパーミント・ティを飲みつつ談笑。ぼくと同じテーブルに座った諸氏は、5人とも全員女性の脚本家・構成作家たち。「井戸端会議的な」話題から、料理、教育の話、テレビの現況などについて、さまざまな意見交換をした。40代、50代でそれなりのキャリアのある人たちなので、自然、現状に対して厳しい意見が続出。

■以前であったら、さらに酒場にでもいって侃々諤々議論をしたのだろうが、みんな御茶だけで帰る。(中には飲みにいった人がいるかもしれないが)。
 家で、午後7時前に夕食を食べるなど、年に数回しかないが、本日は、7時前に食べ、数時間仮眠した。睡眠に勝る「薬」はないですね。それと水。動物は体調が悪いと何も食べずに、ただじっとうずくまっている。自然治癒力が働くのである。
 医者も信用できない人が多いので、なるべくかからず、自然治癒力にまかせたい。それでダメなら「天命」と思って、吉村昭氏ではないが、静かにこの世から去っていく……。
by katorishu | 2006-08-29 23:49