コラム


by katorishu
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久しぶりの歌舞伎町

 9月2日(土)
■喉の痛みは減ったものの、今度は咳。夏風邪は治るのに時間がかかるというが、本当である。家でずっと静養していればいいのだろうが、浮き世の義理などもあって夜遅くまでつきあうことも多く、こうなってしまう。
 昨夜は旧友の文芸評論家氏ほか、写真家、映画評論家等々と、じつに久しぶりに新宿歌舞伎町にいく。映画関係者らが多く行くという「スマイル」というスナック。区役所通りにあり、いかにも通好みの店で、値段も安い。店が開店していなかったので「鶴亀食堂」で定食を先に食べた。ここも古くからの歌舞伎町名物の大衆食堂で、もうとっくになくなっているかと思っていたが、営業していた。向かいのツタのはう落ち着いた雰囲気の喫茶店「スカラ座」は閉店になっていた。

■歌舞伎町界隈は、以前とは大きく様変わりしていた。もちろん、30年、40年前の歌舞伎町のほうがずっと雰囲気はあった。あのころは、毎週のように足を運んでいたものだが。
 本日の顔ぶれは「酒飲み」ではないので、みんなアルコールを飲む量はすくなくもっぱら映画や文学の話が中心になる。文芸評論家のS氏が提唱してはじめたハンスト・マラソンの「ガンジーの会」のことも。「九条の会」とリンクしたい気持ちの強いS氏は他の人たちとかなりの温度差がある。
 いろいろ論断風発して面白い話が盛りだくさんで、さらに続けたかったが、こちらの体調も限界に達したので午後10時ごろ、終わりにする。以前であったら、さらに近くのゴールデン街等に足をのばし、結局、午前2時、3時の帰りになるのだろうが、その元気はない。

■この飲み会に参加した24歳の慶應の学生の〇君の博識ぶりには改めて驚く。哲学や生物学に造詣が深く、九月末、東大で初めて学会の発表会をやるという。聞きにいくので時間などを教えてくれと頼んだ。以前にも会っているが、現在の若者には珍しくじつによく勉強している。そのためわれわれ中高年と同等に話ができる。映画評論家のF氏が話していたが、彼は生き字引であると。カントのことで、なにか調べたいというようなとき、彼にきくと、それは「純粋理性批判」の何章に出ていると即座に答えが帰ってくる。
「こいつ、24歳で仕事部屋をもっているんだからな」とS氏。部屋は本でうまり、身動きならないようだ。博覧強記といえば、やはり慶應出身の荒俣宏氏も、変人、奇人といわれたくらい本好きな人であった。肩まで垂れる長髪で、小太りの〇君の将来に期待したい。本人は研究者の道を歩みたいようだが。「並みの若者」の型どおりの生活をしないところが、良い。「人並み」のことをやっていて、事をなした人は史上皆無である。
by katorishu | 2006-09-03 14:30