コラム


by katorishu
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『卒業』の舞台を見る

10月7日(土)
■自宅から徒歩10分ほどのところに六行会ホールがある。以下、六行会のホームページから。《幕末の頃、品川の今日、六行会のある辺りは、南品川宿(みなみしながわしゅく)と呼ばれ、東海道第一の宿場として賑わっていました。住民は、宿場の仕事は忙しく、自分の家業に従事するこもままならないほどでした。それを軽減し、凶年や不慮の災害時に対応できるよう南品川宿の地主たちが基金の積立てを始めたのが、六行会の初めです。
会の名称である六行は、人の勤むべき六つの行い「孝・友・睦・姻・任・恤」を表しています。親子愛(孝)にはじまり、兄弟愛(友)夫婦愛(睦)親族愛(姻)隣人愛(任)そして人類愛(恤)まで、拡げていこうというもので、これこそ本会の精神です。》

■品川区立図書館が六行会ビルの中にあり、こちらにはよく足を運ぶが、六行会ホールには初めて。劇団朋友の公演『卒業』を見た。劇団代表の小島敏之氏とは20年来の知り合いであり、毎回公演の案内をいただくが、このところ不義理をしていたので図書館ですこし仕事をしたあと、ホールに。定員300人ほどで、客席からは見やすいホールだ。2,30年前にダスティン・ホフマンが主演した『卒業』の舞台化である。主演の若手の男優と女優の力量がためされる難しい役だ。二人とも、がんばっていた……と記すにとどめよう。

■舞台というのは面白いが、むずかしい。映画やテレビのように、映像や音楽などの機器で補ってくれず、生の当人がさらされる、真剣勝負である。
 役者という仕事は、ぼくなどとても出来る職業ではない。台詞を書けても、それを覚えるところでつまづいてしまう。
 終わって小島氏や劇団関係者他と、近くのイタリアンレストランにいき、歓談。昔、一緒にドラマ制作の現場で仕事をしたH氏もきていたので、久しぶりに旧交をあたためる。彼とともに外国の映画やドラマの吹き替えをやっている演出家と隣り合ったので、いろいろ「アテレコ」の状況について興味深い話を聞く。主にアメリカ制作のドラマ等の吹き替えの作業を担当しているとこと。昭和30年代からやっているベテランで、断片的ながらこの数十年の推移などについて知識を得ることができた。

■後日、この業界についてあらためて「取材」をさせていただくことになるかもしれない。どういう場にいても「職業意識」が頭から去ることはない。「物書き」はある意味で「恥かき」の作業でもあり、コンビニではないが24時間営業である。いつでもどこでも、自分なりのアンテナをめぐらせていて、そこにひっかかってくるものに好奇心を発揮し、労をいとわず足を運んだり接触をしたりする。新聞や雑誌、本などのほか、最近はネットにもアンテナを張っているが。
 こういうことを「楽しい」「面白い」と思わないと、この稼業をやっていられない。幸か不幸か、ぼくには「楽しい」し「面白い」。可能ならば、一日に一人は「新しい人」とつっこんだ話をしたいと思う。違った分野、違った価値観、違った美意識、違った生活習慣をもった人と接触することで、気づかされることがある。そのためには外国へいくのがいいのだが、金も暇もない。東京には「異」なるものが無数にあるようで、町を歩くだけで、珍奇なもの、面白いものにぶつかるので、今は特に外国に行く必要を感じていないが。

■北朝鮮の核実験が迫っているようだ。これを北が強行すると、東アジアの「軍事情勢」は質的に変化をし、アメリカと中国がどう対応するかで、大変な事態が引き起こされる可能性がある。
 金体制の崩壊は時間の問題だが、その前後の激しい混乱の余波は当然、日本にも及ぶ。国際的に孤立の一途の北朝鮮は、真珠湾攻撃直前の日本の状況と似ている、とは識者の指摘するところで、ぼくもそうだと思う。この1年ほどが、この地域の安全にとって正念場になると思う。関係者が対応を間違うと、緊張が極限に高まり破滅的な危機が到来するかもしれない。北の金体制が平和的に「軟着陸」する可能性は残念ながら低いと見ておいたほうがいいだろう。
by katorishu | 2006-10-08 15:20