コラム


by katorishu
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小中学生の体力劣化は亡国の兆し

 10月8日(日)
■体育の日を前に文部科学省が実施した「体力・運動能力調査結果」で、子供の持久走の成績が20年前に比べ5~9%悪くなり過去最低レベルになったという。順天堂大の青木純一郎名誉教授(運動生理学)は「途中から歩く子供が増えている。肉体的な体力に輪をかけて、粘り強く頑張る精神力が衰えている」と指摘している。(毎日新聞ウエブ判)。

■小中高生の体力は1985年をピークに低下傾向が続いていたが、この傾向に歯止めがかかっていない。
《持久力と生活習慣との関係について「20メートルシャトルラン」(往復持久走)の結果を探ると、「朝食を毎日食べる」層の折り返し回数は、男女とも年齢を問わずに「毎日食べない」層よりも高かった。テレビやテレビゲームの1日の視聴時間が「3時間未満」の層は、「3時間以上」と比べて高かった》(同)

■ 調査のたびに年々衰えていく子供の体力。子供が路地や公園などで集団で遊ばなくなったことのマイナス面がはっきりと出ている。じゃれあったり、とっくみあいの喧嘩をしたりする中で五感が錬磨され、心身が鍛えられていくのだが、テレビやゲーム機に一人で対していては五感が満足に発達しない。
 人間は動物の一種であることを、どうも現代人の多くは忘れているのではないか。動物だからこそ時に厳しい自然の中で生き残る術を学んでいく。それが、科学技術の急速な進歩で、機械に頼ってしまう生き方が主流になっている。食べ物や生活習慣も影響しているのだろうが、持久力の減退が続く傾向は強く懸念される。

■車などなるべく乗らずに昔の人のように歩くことです。汗を流し、多くの人に会って話をし、本を読む。それだけで、民族の劣化はかなりの程度防げると思うのだが、いずれも億劫なのか、かなり絶望的ですね。
 一方で、「格差社会」がもたらすモラルの荒廃も、これから10年、20年のうちに、深刻な事態を日本社会に招来するに違いない。「我欲をかかない」というのが日本人の美徳であったはずだが、今は我欲をかく人間が手放しで礼賛されている。面妖なことである。

■「現世利益」の横行の中、「文化とは伝統の積み重ね」であるという観点が欠落しているのではないでしょうか。アメリカの占領政策で日本人は徹底的に意識改造されてしまったのだろう。竹中大臣などの主導で行われた「小泉改革」で見事「アメリカ化」が結実した、といっていいかと思う。経済的にはアメリカ、さらに中国、アジア、ヨーロッパと緊密な結びつきを続けていくことが大事だが、文化や社会のシステムは、日本独自のものがあるはず。

■戦後、つくられたことの中で最大の価値は「一億総中流社会」であると思う。これがあったからこそ、経済大国にもなったし、多くの人が高等教育を受けられるようになったのだが、今、それががらがらと瓦解しはじめている。富める者はますます富み、貧しい者はますます貧しくなる傾向が顕著である。
 それが良い社会であるわけがない。まして「美しい国」なんかではあり得ない。ぼくはどちらの層に属するのかですって?書くという仕事の「労力」に対する対価が少なすぎるし(ノンフィクションなど書いていると膨大な時間を費やすし時給数百円といったところでしょうか)、ボランティアが多く、「不労所得」もないし、ますます貧しくなる層にはいっています。
by katorishu | 2006-10-09 00:58