韓国ドラマ『愛の群像』
2006年 10月 11日
■仕事の必要から韓国ドラマ『愛の群像』を1,2,3話見た。ペ・ヨンジュン、ユン・ソナなど日本にも馴染みの役者が出ている。脚本のノ・ヒギョン氏に来週、お会いしいろいろと話を聞くので参考のために見たのだが、予想を超えて面白かった。韓国ドラマというと都会を舞台にした若ものばかりが登場する「トレンディドラマ」の類と思いがちだが、これは違った。ノ・ヒギョン氏は韓国では「言葉の魔術師」といわれている実力はの作家で、的確な台詞を刻みつけつつ、何組かの「愛の形」を描いていく手際は見事である。
■若者の恋愛が中心だが、親の世代やほかの貧しい人たちの愛憎も適宜描きこまれており、昭和30年代40年代の日本のテレビドラマを彷彿させた。
貧しくて頭のいい青年役(ペ・ヨンジュン)が秘めたる野望をもとに「のしあがっていく」ストーリーのようで、スタンダールの『赤と黒』のジュリアン・ソレルが下敷きとしてあるのかな、とふと思った。
■もちろん、ノ・ヒギョン氏のオリジナルで、予想とと違った展開になるのかもしれないが。韓国の連続ドラマを最終回まで見たことがないので、これを機会に『愛の群像』をすべて見てみようかと思ったことだった。何組かの人間の愛憎劇をおりまぜた構成や含蓄のある台詞,『指輪っていうのは世界で一番小さい手錠なんだよね』といった例など、味があり「大人のドラマ」になっている。
先日はキン・ウンギョン脚本の『黄金のりんご』の第一話を見たが、これも家族のそれぞれの生き方を描き、「トレンディドラマ」とはちがった「人間ドラマ」になっていた。キン・ウンギョン氏ともお会いするので、あらためて見たのである。
■最近あまり日本のテレビドラマを見ていないので、単純に両国ドラマを比較はできないが、韓国ドラマは確実に描く対象の幅をひろげていると感じた。もっとも、この二人の脚本家は韓国ドラマ界でももっとも上質の部分に属する中堅の作家で、例外的なのかもしれないが。