出口氏の初の小説、『水月』発売
2006年 10月 12日
■「出口の国語」というと受験界では有名であるという。現代文の問題を独特の方法で説いていくことで、名をはせている出口ヒロシ(活字がないのでこの文字で)氏が、このほど初の書き下ろし小説『水月』を講談社から出した。そのおひろめも兼ねた少人数の集まりが恵比寿駅近くの出口氏のサロン風の事務所であった。
来週あたり本屋にならぶのではないか。リアリズム小説ではなく、精神世界の小説――といったらいいのだろうか。ふつうの小説とは違った肌ざわりのものに違いなく、そのうち読むつもり。
■この種の集まりの場合、名刺交換だけで終わってしまう場合もあるが、たまたま隣りあって座る人と話が弾む場合がある。「ソウル・セラピスト」の女性と環境問題等で同意見であったので楽しい会話ができた。若いのに中高年と話を合わすことのできる物真似芸人志望の女性ともよく話した。最近の若い人には珍しく物怖じせず、中高年とも違和感なく会話ができる。物真似の話になり、「声帯模写」の話をした。古川ロッパが初めて使った言葉で、それ以前は「声色」といった。古川ロッパといっても、今の若い人は知らない。
■盲導犬クイールの作者なども見えていたが、名刺交換する程度の時間しかなかった。歌人の笹公人氏からは『念力図鑑』(幻冬舎刊)という新しい歌集をいただいた。俵万智ばりの現代口語短歌であり、面白い感覚だが、著作権に触れるので、ここにはあえて記さない。
■雑誌の企画がかわり、新しいノンフィクションの連載ということになった。資料などはかなり集めており、改めて取材することはほとんどないが、大型のビニールケースふたつにぎっしり入った資料を読み込む必要がある。そのほか、関連図書を20,30冊は読まなければならなず、相変わらず「貧乏暇なし」の生活が続く。
書き始めが一番、苦労するが、それがまた楽しみでもある。ああでもない、こうでもないと迷いつつ、行きつ戻りつ、書いて削ってまた書くなかから、形ができあがる。そうなると、筆はたいていスムースにすすむものだが。
今度はちょっと文体を買えてみようかと思っているのだが、さてどういうことになりますか。