コラム


by katorishu
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北朝鮮は、どうなるのか。どう対応したらいいのか。

 10月17日(火)
■北朝鮮がさらに地下核実験を強行し、結果として国際社会からますます孤立し経済的にも更に疲弊すると、金政権は「玉砕戦法」をとるのでは……という意見がある。駅の売店で売られている夕刊紙などには、今にも戦争がはじまるといった大文字の見出しが踊っている。

■北朝鮮の食糧生産は夏の洪水被害などで、百万単位の餓死者をだしたといわれる10年ほど前の状況になっているようだ。北朝鮮の冬は厳しく、今度の冬をこせない国民もかなりの程度でてくるのではないか。そのため、「人道的支援」がいわれている。独裁者のもとで苦しむ国民を救済することは大事なことだが、過去の経緯を見ると、外国からの支援、援助がどうも軍需に向けられているようで末端の国民まで届いていないようだ。人道支援が、本当の意味の人道支援にならず、人権無視の独裁国家の延命につながっているという皮肉。独裁体制が自壊してくれれば一番いいのだが、国民は徹底的に統制され言論の自由もまったくない社会で、それもむずかしい。

■かといって、アメリカの一部が狙っているように核施設じ対するピンポイント爆撃などしたら、窮鼠猫を噛むのたとえ通り、北の軍部がどういう行動にでるかわからない。その先に展開する事態は深刻で悲惨になる……というくらいの「想像力」を、日本の現政権はもっていると思いたい。ただ、このまま金体制が「生き残るには核兵器をもつことだ」という考えを変えずに開発を続け、ミサイルに核弾頭を装填して発射できる事態になると……どういうことになるのか。
 ドラマであったら、小さな葛藤を繰り返したあげくの「クライマックス」に近づいているといってよい。結末はハッピーエンドが、大衆娯楽の常套だが、国際関係では「結末」も、たまさかの「気休め」にすぎない。

■どうも現実の国際政治では、ハッピーエンドはのぞめそうもない。金正日は重度の糖尿病にかかっており、あと5年で死ぬ……といった憶測記事を某週刊誌で読んだ。金正日が脱ぎ捨てた下着に付着した微量の排泄物を検査した結果、「重度の糖尿病」であるというのだが。北の経済はほとんど機能していないし、5年はもたないだろう。鍵を握っているのは中国である。ただ、2年後の北京オリンピックを国威発揚の場にしたい中国としては、なんとかこのままの状態が続くことを望みたいのだろう。

■いずれにしろ、金正日が話し合いで退位するはずもない。政権崩壊にともなう混乱はさけられないが、ここは中国が引導をわたして退陣に追い込むしかないだろう。
 イラクでの失点を挽回するため、中間選挙をひかえたブッシュ政権が思い切ってピンポイント爆撃をする可能性も否定できない。そうなった場合に起きる東アジアの混乱を避けるためにも、中国のイニシアティブを期待したいのだが。

■本日、韓国のドラマ作家15人が来日。ぼくは仕事で羽田まで迎えにいけなかったが、明日、日韓のドラマセミナーが新宿のホテルで予定されている。午前中、現在活躍中の両国の4人の脚本家による座談会があり、ぼくはその司会を担当する。近々、雑誌『論座』(朝日新聞のオピニオン誌)に掲載される予定。北のミサイル発射実験など一連の動きのなか、韓国国内にも微妙な空気の変化が起きているにちがいない。時間があれば、そんなことも聞いてみたいのだが――。
by katorishu | 2006-10-18 00:14