日韓ドラマセミナー
2006年 10月 19日
■新宿のヒルトン東京で午後2時から日韓ドラマセミナーの催し。日韓の放送作家協会が主催し、韓国側15人、日本側30数人の脚本家が参加、日韓のドラマの比較や問題点などについて率直に意見交換した。パネリストとして日本側から山田太一氏、冨川元文氏、韓国側から『愛の群像』などの話題作を書いたノ・ギヒョン氏、キムヘリン氏。司会は韓国放送作家協会の金常務理事。
内容の濃いものだった。
■午前中、同じヒルトン内の会議室で、日韓両国から計4名の脚本家による座談会。ぼくが司会をした。朝日新聞のオピニオン雑誌『論座』の主催。通訳をまじえながら3時間じっくり話し合い、実り多いものだった。12月5日発売の『論座』新年号に詳細が載ります。尚、上記の日韓セミナーについては、近々、日本放送作家協会のホームページに報告を掲載する予定です。
URLは http://www.hosakkyo.jp/index2.html
■経費節減や効率化、視聴率偏重のなか、脚本家の「作家性」が軽視されている問題や、視聴者の質の変化なども話題の焦点だった。テレビは結局は視聴者がつくるものなのだが、その視聴者のなかで従来、「面白い」と思えるものを「面白くない」とする層が急増していることも問題であると指摘する人もいた。『脳内汚染』の理論を適用すると、説明できそうなことである。「猫に小判」という言葉がある。どんなに「すぐれたもの」でも、受け手が享受する感受性をもっていなければ、まさに「猫に小判」であり、作り手がいくら努力しても徒労となる。
■とにかく刺激の強いもの、ぽんぽん変わるコマーシャルのような画面に慣らされてしまった視聴者を、じっくり立ち止まらせるのは至難の技である。韓国も最近、制作会社が乱立し、とにかく安直に作ろうという傾向が強くなっているようだ。
夜の夕食会などで、日本のドラマ制作の内情とともに唖然とする事態などについて聞いた。
さらに新宿での二次会とつきあったが、途中眠ってしまい早々と帰る。韓国の脚本家たちは恐らく午前×すぎまで飲むに違いない。通訳をまじえたり、かたことの直接の対話などによって、いろいろと意見交換ができた。異文化摩擦がメインテーマのぼくには、実りある一日だった。