コラム


by katorishu
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報道の自由度で日本は先進国の中で最低とか

 10月26日(木)
■2006年度の「報道の自由度ランキング」で日本は168カ国中、51位だという。パリに本部をおく「国境なき記者団(本部・パリ)」が24日発表したもので、最高位はフィンランド、ついでアイルランド、アイスランド、オランダと続き、最低は北朝鮮だった。毎日新聞ウエブ版によると、日本は「ナショナリズムの隆盛が目立つ」との理由で前年より14位下がって51位となった。一方、アメリカは「テロとの戦いを巡りブッシュ政権と司法、メディアの関係が悪化した」として53位とのこと。

■先進国に限れば日本は最下位に近い。多くの日本人は日本は「自由で、開かれた社会」と思っているようだが、実質はかなり閉鎖的で窮屈な社会である。会社や組織の中で、思ったこと感じたこと、思想信条宗教などについて比較的自由に発言できるところが、どれほどあるだろうか。なんとなくそろって「自主規制」しているうち、「不自由」を「不自由」と感じなくなってしまう。「檻」のなかで生まれ育った動物は、べつに不自由さを感じていない。それが「世界だ」と感じているに違いない。
 マスコミから日々流されるニュースのことを、客観性があるなどといっているが、ほとんどのニュースや情報は、ある価値観、ある線に沿って加工されたものが多く、必ずしも「真実」を伝えていない。真実など神のみぞ知るといわれれば、それまでかもしれないが。

■相変わらず談合等が絶えないし、選挙の世襲候補が当選したりする日本。中国など「汚職」や「官僚の口利き」が「文化」となっている国よりましかもしれないが、あまり褒められない光景が至るところに露出している。
 類型的な思考をする人も多いし、総じて付和雷同である。報道の自由度がもっとあり、例えば世論に強大な影響力をあたえるテレビが、それぞれ個性ある情報やメッセージを送れば、受け手の意識もだいぶ変わってくるのだろうが、送り手の情報が「金太郎飴」なので、受け手もコンビニの商品のように「金太郎飴」になってしまう。
「記者クラブ制度」も報道の自由度からいったら問題である。先進国でこういう制度があるのは日本だけである。今回の調査がどれほど正確かわからないが、一応の目安にはなる。

■北千住の脚本アーカイブズ久々の「当番」。11時より18時まで準備室につめる。そのあと、秋葉原のコーヒー店で執筆作業。資料読みその他もしなければならず、時間がまったく足らない。睡眠時間を削ることでしか時間を生み出せない。やりたいこと、見たいこと、顔をだしたいイベント、会って話をしたい人などが、数多くありすぎるのである。おかげで「退屈」とは無縁の生活を送っており、病気などしていられない。それにしても、毎度のことながら時間の経過が早すぎる。

■作家の小島信夫が91歳でなくなった。マスコミは相変わらず「芥川賞作家」というレッテルをつけている。すでに40数年前のことで、その後、小島氏は地味ながら大作、問題作を着実に書いている。小島信夫を知っている読者も、今やあまりいないのでしょうね。『アメリカンスクール』や『小銃』『吃音学院』等々、初期の短編はよく読みました。長編は『抱擁家族』を読んだが、30年ほど前などで内容は忘れてしまった。アメリカ帰りの江藤淳がこれをサカナに長編評論を書いていて、それも面白かった。

■その後、小島信夫は延々と長い小説を文芸誌に連載していたが、こちらにはつきあえなかった。そういえば文芸誌を最近、まったく手に取っていない。比較的「読者家」の部類にはいると思っている自分でもこの程度なのだから、他は推して知るべしなのでしょう。売り上げも少ないのでしょうね。総合雑誌の売り上げも少ないようだが、こちらは比較的よく読んでいる。最近毎月必ず読むのは『現代』と『論座』ですが、面白い論文がありますよ。前宣伝になりますが『論座』の来年4月号から『妖花』というタイトルの長編ノンフィクションを連載する予定です。(予定ばかりいろいろいれて、こなせるのかどうか、それは別問題)。これは力をいれて書くつもりです。乞うご期待。
by katorishu | 2006-10-27 00:25