コラム


by katorishu
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

お粗末な、政府の「やらせ」質問

 11月2月(木)
■小泉政権発足以来、「国民の声を聞く」ということでタウンミーティングなるものがこれまで174回開かれたという。首相自ら参加したり、閣僚級の政治家が出席し、いろいろなところで開催してきた。国民の声をすいあげる「民主的な政府」を印象づけようという狙いがあるのだろう。

■それ自体は結構なことだが、このほどタウンミーティングでの「やらせ」が発覚した。八戸市でのタウンミーティングで、内閣府が前もって発言者にこういう線に沿った発言をして欲しいと依頼していたことが発覚した。教育基本法の改正問題についてのタウンミーティングだった。内閣府より送付されたファックスには「台詞の棒読みはさけてください」とか「誰それさんより依頼されたといわないでください」との文字がある。

■誰が指示したのかわからないが、いかにも役人が考えそうな姑息な手段である。八戸市でのタウンミーティングには前の文部科学大臣の小坂氏が参加した。こういう「やらせ」のもとで発言された意見を世論だとして、教育基本法の改正に賛成の意見が多い……などとするとはとんでもないことである。参考資料としても、いただけない。

■民主主義社会にあっては、世論は国民から自発的にわきあがってくるものが土台ならなければ嘘である。上から誘導したり仕組んだりするなど、「言論統制」といってもよく、民主主義に逆行するものである。この一点でも小泉政権を評価できない。安倍政権は小泉政権を「継承する」といっているので、この面でも同様の愚をおかすのだろうか。

■午後、京橋の国立近代美術館にあるフィルムセンターを「論座」の編集者と訪れる。映画関係の雑誌などの資料がそれっているのはありがたいが、検索の際、雑誌の目次だけでもいれてほしいものだ。いちいち書類を書いて最大5冊を借り出していたのでは、時間がかかりすぎる。
 ついで築地の朝日本社へ。地下二階の書庫で「映画朝日」ほか古い雑誌類を調べた。昭和5年ころまでの日本は案外モダンであり、文化的な水準はかなり高かった。古い雑誌などを見るとよくわかる。戦前の日本を「暗黒」と一色で塗りつぶすのは間違っている。ただ、2,26事件の起きた昭和11年頃になるとガラッとかわる。物資の欠乏がすすみ、統制色が強まる様子が、はっきりでており、まさに「軍国主義」に塗り込められていく。
 古い雑誌や新聞類を読んでいると、面白く想像力を刺激され時間の経過を忘れる。一度、戦前の雑誌類に目を通してみてください。いろいろな発見があり、それまでの「常識」をくつがえされたりします。
by katorishu | 2006-11-03 00:03