コラム


by katorishu
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北朝鮮問題をあつかった二つのテレビ番組

 11月4日(土)
■昨夜というより今朝、テレビ朝日の「朝まで生テレビ」を見た。放送された分の9割は見ているかもしれない。3時間もの時間をかけてじっくり討議するレギュラー番組は、地上波テレビではこれが唯一だろう。今回は北朝鮮の「6ヶ国協議への復帰」問題と日本の核武装論議などが焦点。散漫でだらだら続く場合もあるが、今回は議論が比較的かみあって面白かった。東アジアに生まれてしまった新たな核兵器保有国の北朝鮮。このトンデオモナイ国家にどうむきあうか。日本が極めてむずかしい立場にたたされていることを、あらためて感じさせられた。論者に朝鮮問題の専門家がいなかった点が物足りなかったが。

■独裁政権の金正日政権が自壊してくれればいいのだが、父親の金日成政権以来、ながく続いた独裁政権のもと、ライバルになりそうな人間はほとんど殺されてしまったので、全体をまとめていく人材もいない。こういう政権がよくぞ今まで生き残っているものだ。
 年内にも開かれる6ヶ国協議で北朝鮮がどういう姿勢を打ち出すか。核兵器を手放すことは、ほとんど期待できないし、これといった成果は生まれないのではないか。北朝鮮は超大国アメリカが核兵器をもった国は一度も攻撃していないという「学習」をしているので、生き残りのための唯一の武器を手放すはずもない。一方、アメリカが力で廃棄に追い込む余力もない。そんなことをしたら大混乱が起こる可能性がある。かといって、このまま放置すれば北の核開発は着々と進む。ミサイルに核弾頭をつけるようになるのは時間の問題で、これは日本にとって大変な脅威である。

■唯一の被爆国日本としては当然、核兵器廃絶にむけてイニシアティブをとっていかなければいけないのだが、パワーポリティックスが支配する国際政治のなか、「核廃絶」などという日本の声はほとんど無視されるのが現実である。
 それでも、米ソの軍拡競争の時代にくらべれば、核爆弾の数はかなり減っているそうだ。
一方で小型化がすすんでおり、危機は去らない。超大国アメリカの自制が今こそ必要なときはない。そうして、北の恐怖心をとりのぞき「恐怖による団結」をゆるめる方向で――と思うのだが、なにしろ国民の多数が洗脳された「カルト国家」なので、そう簡単ではない。

■本日、午前1時15分より2時間にわたり、NHKの北朝鮮についてのスペシャル番組の再放送を見た。金日成がソ連の庇護のもとどうやって権力を獲得し、個人崇拝による独裁体制を築いたかをあつかった第一集の「個人崇拝への道」と、権力を息子の金正日にどうやって世襲させ、その後、金正日が強権的な独裁権力を発揮し経済を破壊し国際的に孤立するに至ったかをあつかった第二集の「隠された世襲」。
 200人もの関係者へのインタビューで構成され、恐怖と情報統制で国民をしめつけ権力維持に腐心する親子の姿を浮かび上がらせる。「建国」の歴史の虚偽性をあぶりだすなど、現在の段階では時間をかけて情報をあつめてものと一定の評価はできるが、実情はもっとすさまじく、おぞましい事態が起きていたはず。いずれ金体制が崩壊すれば、驚くような情報が出てくるだろう。

■たとえればオウム真理教が日本をのっとり、麻原ショウコウが権力を握り、それを世襲させたようなものである。権力を維持するために、マスゲームをやったり、個人崇拝を徹底させ批判的な人物を徹底的に排除する。そういえば、こういうことをよくやる組織がどこぞの国にありますね。「個人崇拝」と「権力の世襲」は民主主義にもっとも似合わない、とあらためて思ったことだった。
by katorishu | 2006-11-05 02:56