コラム


by katorishu
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「日本の病理」は週刊誌を読むとよくわかる 

 11月6日(月)
■月曜日は発売される週刊誌の目次に注目する。週間現代と週間ポスト、週間朝日、サンデー毎日などに目がいく。経済関係の週刊誌も発売されるのだが、それらは基本的にどうやったら金儲けができるかを追及しているものなので、ほとんど興味がない。経済はとても大事だが、銀行や証券会社、それに株などにあまり興味をもてないし、そこまで読んでいる時間はない。

■今週は「週間ポスト」の目次が目を引いた。「受動喫煙は子供の発がん率を低下させる」「『同和行政とメディア』で部落解放同盟リーダーが反論」「学校崩壊の共犯者たち」などである。近くのコンビニに週刊誌を買いにいったら、やはり「週間ポスト」が一番売れているようで、最初にいった店では売り切れていた。

■受動喫煙の問題では従来の「常識」をくつがえすもので、国際がん研究機関が1988年から7年間かけて行った研究の結果わかったことだという。一方、受動喫煙の被害があるという研究も多く、受動喫煙は無害などとこれだけで即断はできないが、煙草を吸う人にとっては、とりあえず「朗報」だろう。

■特集のトップは同和問題である。先週号で同和出身の政治家、野中広努元自民党幹事長が、同和対策事業特別措置法が同和行政の弊害をうんできたと発言したこをと受けての特集である。最近、奈良市や京都などの行政で起こった不祥事など「同和関係者」がからんだ事件がマスコミで報道された。その報じ方がさらに部落差別を強めていると、同和運動のリーダーである近畿大学教授が反論している。
 週間ポストは更に後半でマスコミが同和に関連した事件をどう報じたかを検証している。これまでマスコミが「アンタッチャブル」にしてきた問題に果敢に切り込んだ姿勢は評価できる。

■それにしても、未だに人が人を差別する封建時代からの遺風が厳然と存在していることに驚く。歴史的に関西での差別が著しい。ぼくはじつは、部落差別というものがあること自体を、中学3年くらいになるまで知らなかった。島崎藤村の『破壊』という小説を読んで初めて知ったのである。東京には「部落差別」が関西に比べてすくなく、それだけ人々の日常の意識にのぼらなかったのだろう。

■関西にいって驚いたことのひとつは、町の至るところに「人権」とか「差別をなくそう」といった垂れ幕がかかっていたことだ。関西の地元の人間が「このへんは例の」といって意味深な表情をする。日々の生活のなかに部落差別が生きているのである。
 就職に際しては以前ほど露骨な差別はないようだが、結婚となると、差別の空気はまったく変わっていないようだ。週間ポストによると、一連の同和がらみの事件がマスコミで報じられてから、結婚のさいの身元調査が急増しているそうだ。

■行政が同和対策として行った「優遇政策」を、「えせ同和」と称される人たちや暴力団などが悪用し、それを行政が見て見ぬふりをしてきた。「だから、やっぱり、同和は怖いし、駄目」という意識が多くの国民にあるのだろう。
 豊臣時代と江戸時代を通じて権力者が人民統治の一環としてつくりあげた制度なのだが、それが21世紀の日本に厳然と生きているのである。身分差別は、個人崇拝、権力の世襲などと同様、民主主義とはあいいれないものである。

■週間ポストには、そのほか竹中元議員の「講演ビジネス」や孫正義のソフトバンクの「携帯電話革命」など興味深い記事がある。
 ところで、ご存じかどうか、世界で記者クラブがあるのは、日本と日本の植民地であった韓国だけである。その韓国もノ・ムヒョン政権になってから、少なくとも中央官庁については記者クラブを廃止したという。過日、朝日ニュースターの「ウワサの真相」でこの問題をとりあげていた。
 現代日本の「病巣」や「問題点」は、記者クラブ制度に依存しているテレビや新聞の報道ではよくわからない。週刊誌や総合雑誌をあわせて読むことをおすすめしたい。

■この国のかかえている「病理」は、深く重いと改めて思う。病理のかなりの部分を役人がになっているといっていいかと思う。社会保険庁のデタラメさなど、氷山の一角である。役人のひとりひとりは「良さそうな人」で、げんに大半は「善人」なので、国民は病理を病理と感じにくいが、現在の「官僚システム」が問題なのである。日本というシステムの根幹をになっているのは、政治家というより「選挙という洗礼を受けない」役人である。
「悪しき前例主義」
「ことなかれ主義」
「無責任主義」
 残念ながらこれが官僚の本質である。それが証拠に数々の不祥事の責任を誰もとらない。汚職などではっきり犯罪と認定された場合は法の裁きをうけるが、責任回避のシステムが「慣行」としてできあがっているようだ。
 民主党党首の小沢一郎氏や、前長野県知事の田中康夫氏などは、ここをついているのだが。
by katorishu | 2006-11-06 23:52