コラム


by katorishu
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 歴史についての基礎知識が少なすぎる

 11月7日(火)
■昼間、天気はよかったのだが、風が強く、天気予報通り夕方から寒くなった。本日、北海道で猛烈な竜巻があり、大きな被害がでたとのこと。これも異常気象の現れなのかどうか。暑すぎたり、大雨が降りすぎたり、この10年ほどで、実感として「異常」が感じられる。過剰なエネルギー消費によって、自然の営みに異常が起きていると考えるべきなのだろう。

■人間世界での異常も毎日のようにつづく。アメリカでは本日、中間選挙がはじまったが、イラク戦争につきすすんだブッシュ政権への批判票が多く、民主党が圧勝する可能性が強いとのこと。明日になればわかることだが、これによって力のあるものが力でねじふせるというやり方は失敗するものだということを、多くの人が学習するといいのだが。

■学習といえば、歴史をあまりに知らない人が多すぎる。本日、若手(30代後半)の放送作家と話していて、ある件で「そのやり方はまるで関東軍みたいだ」といったら、きょとんとした顔をしていた。「関東軍」について、初耳だというのである。関東地方にあるから関東軍とでも思ったのだろうか。戦前、中国旧満州にあった日本陸軍の一部で、満州事変ごろから、中央の軍や政府でも統御できなくなって暴走し日中戦争の深みにはまり、日米関係をも悪化させ結局は日米戦争につきすすむ大きな原因をつくった組織である。
 歴史に「もし」をいっても意味はないかもしれにが、もし関東軍の暴走がなかったら、日米戦は起きなかったかもしれない。
 他人のいうことを聞かずに暴走する組織などを「関東軍みたいだ」と日常会話でもよく使われてきたのだが――。

■若手の放送作家は、学校でまったく習わなかったので知らなかったと話していた。満州事変という言葉は知っていたが、その原動力になった関東軍を知らない。他は推して知るべし。昭和の日本や世界について、基礎的な知識があまりに少ない日本人が多すぎる。
 最近、高校での「履修問題」が話題になっているが、受験科目ではないからと教えないし、学ばない。困ったことである。

■今は過去の延長線上にあるのだから、今は知ることは過去を知ることである。逆に過去を知らなければ今がわからない。自国の歴史と、自国と他国との関係の歴史を知ることは、とても大事なことなのだが、「受験」の科目が減らされたこともあって、歴史をまなばなくなる。もっとも、受験勉強でやる歴史など、歴史とはいえないシロモノだが。

■歴史の評価は一定せず、歴史家によっても違うが、すくなくとも過去に起こったことの共通の「事実」について、最低限の知識をもっていてくれないと話にならない。基礎的知識がないと、国の浮沈がかかる問題いついて適切な判断もくだせない。判断の基礎になるのは「情報」「知識」である。

■学校教育については、今以上によくなるとは思えないので、ひとりひとりが歴史書などもよく読み、知識を吸収していくしかない。歴史を読んでいる人はよくわかっているが、歴史ほど面白いものはない。このブログを読んでいる人で、もし歴史書をほとんど読まないという人がいたとしたら、だまされたと思って、昭和初期の歴史に触れた書物を一冊でも読んでみてください。こんなにおもしろいものか、と目から鱗がおちるはずです。
by katorishu | 2006-11-08 00:58