コラム


by katorishu
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国会図書館ほど知的で懇切丁寧な役所はない 

11月21日(火)
■元参議院議員で衆議院の事務局に長年勤務していた平野貞夫氏の意見には納得することが多い。総合雑誌に書いたり単行本を何冊もだしているが、「まっとうなこと」をいう人だ。小沢一郎氏のブレーンとしても知られるが、本日「朝日ニュースター」に出て、小泉、安倍政権の進めている「競争主義」の政策では資本主義体制そのものがおかしくなってしまう、と警告していた。

■自由競争は必然的に「格差」それも、今のような「てこ」の原理が働くシステムにあっては、看過できない大きな格差を生じさせる。環境問題などと同様、これは資本主義社会の枠組みを危うくさせる、従って野党として特色を出すには「格差をなくす」政策を強く打ち出すべき、と語っていた。「日本はすくなくとも野垂れ死にする人がいない社会」にしなければいけないと氏は語っていたが、その通りである。年間、3万人以上が自殺する社会がいいワケがなく、現政権はその改善策に果敢にとりくんでいるとはとても思えない。

■官僚主導のシステムや政治と宗教の問題にも、平野氏は果敢にきりこみ、マスコミが「タブー」にしていることにも触れ、批判すべき点をきっちり批判している。ぼくは「右翼」と同様「左翼」も嫌いなので、平野氏のような「まっとうな良識」の持ち主の論文を読むと、ホッとする。
 自民党は例の「郵政選挙」で離党した議員の「復党」を考えているようだが、こういう節操のない「ご都合主義」をリーダーがとっていて、教育がどうのこうのモラルがどうのこうのとよくいえたものである。子供たちに対し「しめし」がつかない。来年の参議院選挙で手痛いしっぺがえしを食うに違いない。
 
■国会図書館で7時間ほど調べものをしたあと、資料類に数時間目を通したりしたので、目がしょぼしょぼ。戦前の新聞など電子化されていて検索も楽なのだが、新しいシステムなので使い方がわからなかったりする。係員に尋ねると、官庁には珍しく懇切丁寧に教えてくれる。仕事の内容からあらゆる官庁の中で、もっとも知的な組織ではないのか。当然、所属する職員、アルバイトも比較的知的な人が多いのかもしれない。
 知的でいて、かつ「アンモラル」で「悪」の要素を色濃くもっている人もいるが、総じてよく本を読み知的な人は、穏やかだし、いい顔をしている人が多い。

■国会図書館は、他の官庁、組織と違って利権などもきわめて少ないにちがいない。大学時代の同じクラスの女性が卒業後、国会図書館の職員になったが、当時、国会図書館の職員になるのは司法試験に受かるよりむずかしいといわれた。彼女は、ぼくなどちゃらんぽらんで授業にほとんど出ない学生と違って、きちんと授業に出る「真面目」を絵に描いたような学生であった。(もっとも、当時から喫茶店ではよく本を読んでいましたが)

■「真面目さ」とものを「創る」こととは必ずしも結びつかないものの、真面目で誠実な人間に接するのは快いものである。ユーモアと遊びのセンスがあれば申し分ないが、それは「ないものねだり」というものである。
by katorishu | 2006-11-22 00:39