コラム


by katorishu
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知力・体力の低下とともに日本人の歩行の速度が落ちている 

 12月1日(金)
■街を歩いたり駅の階段などをのぼったりするとき、よく感じるのだが、最近、多くの人の歩く速度が遅くなっている。「高度経済成長」時代は、みんなもっと早足に歩いていたし、動作のひとつひとつにきびきびした動きがあった。ところが、最近は、もったり、もったり歩いている人が多い。余裕があって、のんびり歩いているのとは、違う。姿勢も悪いし、活力の枯渇を感じさせてしまう。

■高齢化が進み、若者が減ったことが一因だろうが、じつは若者にも案外「もったり族」が多い。「健康力」「元気力」のバロメーターとして、ぼくは人の歩く速度をあげている。「歩くのが早い人で病人」という人を、ぼくは知らない。ひと頃、都会の人間の歩行について、「せかせかしている」とか「せせこましい」とか、批判的に見ている意見が多かったが、最近は「せかせか歩き」がむしろ懐かしいくらいである。肥満も一因なのだろう。
 ぼくは、昔から比較的、歩くのが速いが、それでも気持ちが落ち込んだり、体調が悪いときは、いつの間にか歩くのが遅くなっている。歩く速度で、自分の体調がわかるのである。

■朝日ニュースターで精神科医の和田秀樹氏がフィンランドと日本の教育事情の比較について話していたが、日本の子供たちの知的な劣化は、かなり深刻な段階にきているようだ。現在、日本の中学生で、学校以外で勉強する時間がゼロの生徒が40数パーセントであるという。予習、復習はもちろん、宿題もしないということである。

■和田氏によると、最近、東南アジアで学力に関する調査をすると、日本の子供はほとんどいつも最下位のグループにはいるという。アジアで圧倒的に知力が高かった日本人は、次第に過去のものになりつつある。
 老人や病人のもたもた歩き、よたよた歩きは自然現象なので仕方がないが、若者はもっと背筋をのばし、活力を感じさせる歩き方をしてほしいものだ。

■もたもた歩きの人間も、いったん車の運転席にすわると、人が変わったようにスピードをだしたりするのではないか。機械に頼るあまり「動物」としての基本的な体力・能力が減退しているので、無意識のうちにもそれを補う力が歪んだ形で働くのかもしれない。
 心のありようは無意識のうちに体の動きに出るものである。それと声。内臓が疲れていたり、睡眠不足のときなど、とたんに声に敏感に反映し力がなくなる。歩行と声。ぼくの場合、このふたつが「元気力」のバロメーターである。その観点から街を歩く人を見ると、どうも「半病人」が増えているようで気になる。
by katorishu | 2006-12-02 01:49