「やらせ」タウンミーティングの日当が10万円だという
2006年 12月 05日
■脚本アーカイブズの臨時の当番。早めに家を出て、秋葉原のヨドバシカメラのビルの一角のコーヒー店で1時間半ほど執筆作業。携帯パソコンがなかったら出来る作業ではない。例によって睡眠不足なので途中で睡魔に襲われた。10分ほど眠ると回復するのは長年の「体験」のたまものである。
■準備室で昭和30年代のドラマ台本を3冊ほど読んだが、当時の台本は時代の違いもあるだろうが、テンポはのろいものの深みのあるものが多い。昔のものも、そうとう手抜きで、パターンのものもあることはもちろんである。しかし、総じて作り手の意気込みが伝わってくる。
向田邦子氏の作はオリジナルが知られているが、原作を脚色したものもある。そこまで読む余裕はなかったが、準備室に現在集まっている1万数千冊の脚本・台本は、その時代の庶民の趣味や嗜好などがつまっている。日本はアメリカなどと違って、「記録」はするもののそれを長く「保存」していくという文化がどうも希薄である。
■その時代には「とるにたりない」ものであっても、時間がたち、一定量が堆積すると、それなりの価値をもつものである。時代の記録は、そこで生きた人々の喜怒哀楽の記録である。放送台本など放送されれば捨ててしまうという「伝統」があったので、現在、昭和30年代や昭和40年代半ばごろまでの脚本・台本は消滅してしまったものが多い。映像も残っていない。歴史や文化を記録、保存し後世に伝えることに、もっと多くの人が興味をもってほしいものだ。
■例の「やらせ」のタウンミーティングで、事務局スタッフに10万円の日当が出ていたことが暴露された。国会で社民党の保坂議員の請求によって明らかにされたもので、一日の「日給」が部次長クラスで10万円、部長が7万円、主管が5万円だという。彼らは一方で公務員としての給料ももらっているのである。これとは別に「プロデューサー」と称する民間人(大手広告代理店の社員らしい)にも日当10万円が支払われており、ある人にはのべ40日間で400万円が支払われていたという。日当とはべつに宿泊費や主張費がでているという。
■平均すると一回のタウンミーティングに2400万円もかかっているというが、こういう費用にかけていたわけである。数人のパネリストに、公務員などをかきあつめて会場を埋めただけの催しである。こんなに費用がかかるのはおかしい。個人が物好きでやるのなら問題はないが、すべて税金である。しかも、あらかじめ発言内容を発言者に要請している「やらせ」である。税金の無駄遣いの象徴だが、こんな「税の無駄遣い」が日本列島で日々行われているのでは、国家財政が大赤字になるのも当然である。
いつの世も「うまい汁」をすする寄生虫が存在するものである。それがある種の潤滑油になっていることもあるが、んどの「やらせ」タウンミーティングは輿論を誘導する行為だけに一層許し難い。国民はこういうデタラメにもっと怒らなくてはいけない。いつまで日本人は「お上」に弱いのか。こんなことを許していたら、中国の「非民主社会」を笑えなくなる。